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12月4日独り言朝刊ニュース

血清療法が発表された日。日経新聞の朝刊から気になるニュースを抜粋。個人的には極めて重要で関心のある記事。来年以降のターニングポイントになる可能性があると考える。

"ロシア原油、上限60ドル発動へ"

 ロシア産原油の輸入価格に上限を設ける主要7カ国の制裁が5日に発動する。欧州連合は2日、上限を1バレル60ドルとすることで合意し、G7も足並みをそろえる。ウクライナ進行を続けるロシアの資金源を抑え込む狙いだが、60ドルはロシアの生産コストを大きく上回り、制裁の効果を疑問視する見方もある。
 上限価格を超えて取引される場合には、海上輸送に欠かせない保険契約をできなくする。海上保険を扱う金融機関は欧州に集中するため、制裁に参加しない国との取引にも効果を及ぼすことができるという。米財務省は日本が参画する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」から日本に輸送する原油は来年9月末まで対象外とする指針を示している。
 EUは加盟27カ国で上限価格の設定などを議論し、2日に60ドルで合意した。G7に加えオーストラリアもこの内容を適用する。上限価格は2023年1月中旬に見直し、その後も2ヶ月ごとに調整する。価格上限を見直す際は、市場の平均価格より5%低くする。
 価格に上限を設ける狙いは2つある。1つは価格を抑制することで、ウクライナ進行を続けるロシアの戦費を削ることだ。ロシアは世界第3位の産油国で、原油輸出が重要な外貨獲得手段だ。
 ロシアの財政状況は現状、原油相場の高止まりによって堅調さを保っている。2022年暦年の予算で設定した原油価格は1バレル44.2ドルだが、インタファクス通信によると1-11月の平均価格は78ドルを超えた。今年1-9月の歳入は前年同期比で10%以上増え、黒字を維持しているとされる。
 もう一つはロシア産の石油が国際市場に供給される流れを維持することだ。ロシア産は世界の石油需要のおよそ1割を占め、供給が止まれば相場が急騰しG7や世界経済に悪影響を及ぼしかねない。
 西側諸国では米英がロシアからの原油輸入をいち早く停止し、EUも12月5日から海上輸送をやめる。価格上限は「新興国や途上国が限られた価格でロシアの原油を入手し続けられるようにする」ための措置で、経済や市場の混乱を避ける意味合いが強い。
 ロシアへの制裁と安定供給の確保という相反する目的があるため、実効性には疑問符がつく。ロシアの石油の生産コストは1バレル当たり平均30-40ドルとされる。60ドルではロシアの利益を削る効果は限定的だ。
 欧州各国がロシア産原油の調達を控えた結果、西側の制裁と距離を置くインド(11倍増)やトルコ(2.8倍増)、中国(11%増)割安になったロシア産の輸入を大幅に増やした。この流れは今後続く可能性がある。
 原油価格への影響は今のところ限定的との見方が多い。金融情報会社リフィニティブによると、ロシアの代表的な油種「ウラル原油」は足元1バレル59ドル前後と、上限価格60ドルとほぼ同じだ。
 ロシア産は国際指標の北海ブレンㇳに比べ約3割安く取引されている。北海ブレントが上昇し60ドルとの開きが大きくなった場合、ロシアが供給を続けるか、60ドル以上の価格で買う国が増えないかなどが焦点となる。
 石油輸出国機構加盟国とロシアなど非加盟国でつくる「OPECプラス」は4日に閣僚級会合を開くが、増産には慎重とされる。景気減速による需要減を警戒し、ロシア産の流通量を見極めながら生産水準を調整するとみられる。

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