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《美团点评(MeituanDianping)》    企業リサーチ&分析

現在、私はNewsPicksの『INVESTORS』という番組に、
投資に挑戦するインベスターズ(投資家)の一人として         
出演させて頂いております。

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                  (Thumbnail by NewsPicks Studios)
詳しくは前回の記事をご覧ください。

私が今回選んだ銘柄は「美团点评」(Měi tuán diǎn píng)です。

会社概要
企業名:Meituan (美团)
設立日:2010年
上場日(上場廃止日):2018/09/20
代表者 :Xing Wang (Chief Executive Officer, Chairman)
主要取引市場:香港証券取引所
業種:テイクアウト・デリバリー、専門情報サイト、旅行サイト
住所:中華人民共和国No.4 Wang Jing East Road Tower C, Hengjiweiye Building Chaoyang District Beijing People's Republic of China (Corporate)
ケイマン諸島 Ugland House PO Box 309 Grand Cayman People's Republic of China (Registered)
従業員数:57,566人(2020/06 連結)
URL:https://about.meituan.com
                          (引用:SPEEDA)
需要指標(データ更新日:2021/03/31)
時価総額:1.77兆 香港ドル
予想EPS:-0.52 
ROE:4.96%
ROA:3.15
実績PBR:14.22倍
実績BPS:19.71 
予想BPS:16.23
PCFR:140.40倍
D/Eレシオ:24.62
                          (引用:SBI証券)

美团点评は中国の北京に本拠を置き、
中国のフードデリバリープラットフォームを運営している企業。

美团は2010年に設⽴された会社で、
創業当初は、共同購⼊サイトである                 「美团網(Měi tuán wǎng)」を運営していて、
2015年に⼤⼿⼝コミサイトである                  「⼤衆点评(Dà zhòng diǎn píng)」と合併し、
その後2018年に上場。

日本でいう「出前館」のようなフードデリバリーサービスを       展開しているだけではなく、
・レストランや旅行代理店などの                    オフライン事業者をオンライン上の消費者と結ぶ          「O2O」(online-to-offline)サービスの提供
・シェアバイクの利用
・タクシーの呼び出し
といった数々の生活サービスを提供していて、
まさに中国最大の生活総合プラットフォーマーとなっている。

実際のアプリの画面↓

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                         (出典:美团アプリ)

美团の強さは以下の三点にある

1.  成長し続ける中国のフードデリバリー市場
2. 競合他社を抑えた圧倒的シェア
3. フードデリバリーだけに止まらないサービス

1. 成長し続ける中国のフードデリバリー市場

コロナの影響もあって、伸び続けているフードデリバリー市場だが、
下記のグラフによると、
中国のフードデリバリー市場は、
2015年は491億元(約7950億円)だったが、
2019年には6536億元(約10兆円)、
ということで約13倍に成長していて、
今後も更なる成長に期待できると思う。

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                         (出所:iResearch)

同時に、中国でのフードデリバリー利用者数も年々増加していて、
2015年は1.14億人だったのが、
2019年には約4倍の4.58億人にまで増えた。

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                         (出所:iResearch)

2019年末時点で、中国のフードデリバリー利用者は4.58億人ということで、インターネット利用者数の9億人の約半数、
つまり、中国の都市人口の54%を占めている。

その中でも、未婚の90年代以降の世代(20〜30歳)からの需要が高く、
1日の大半を仕事や勉強に費やしている18歳から30歳までが
全体利用者数の58.6%(36.1%+22.5%)を占めている。
ちなみに、全体利用者数の6割以上が未婚だった。

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                            (出所:美团)

では、フードデリバリー事業は美团全体の売上にどれほど影響しているのか
というところなのだが、美团の売上高の56.2%を占めているのが
フードデリバリーサービスだ。
しかも、フードデリバリーの売上高はたったこの4年間で
約10倍にまで伸びている。

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               (出所:美团点评:決算資料を元に作成)

2. 競合他社を抑えた圧倒的シェア

日本でも「出前館」であったり、「ウーバーイーツ」であったり、       様々なフードデリバリーサービスがあるが、中国ではどうなのか?

中国のフードデリバリー市場は、主に
1. アリババの「饿了么」
2.「美团外卖」
の二つのブランドが独占している。

その中でも、「饿了么」の売上
マーケットシェアは26.9%でとどまっている一方、
「美团外卖」は 67.3%といった圧倒的シェアを誇っている。

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                         (出所:Trustdata)

中国のO2Oフードデリバリー事業の65%を
第一、第二ティア都市が占めているが、
成長の余地はあまり大きくない。

その反面、モバイルインターネットと                O2Oフードデリバリープラットフォームの
人気の高まりに伴い、
中国の第三、四、五ティア都市で急速な成長が見受けられている。
だからこそ、美团は、より多くの潜在的ユーザーを獲得するために、
より郊外への投資をしている。

中国の第一、第二ティア都市とは、                  日本で言う、都市や地方都市のことを指しており、
第三、四、五ティア都市は、日本で言う、郊外のことだ。

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                       (出典:King of Hearts)

このような企業戦略により、売上高も順調に伸びている。
2015年度は40億中国元ほどの売り上げが、
ここ5年で1000億中国元近くまで上がった。
日本円で言うと1.6兆円にも及ぶ。

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               (出所:美团点评:決算資料を元に作成)

プラットフォーマーは本質上、
最初に参入障壁を築くために営業利益の赤字が続くと言うケースが一般的だが、美团は昨年度、営業利益の黒字化に成功している。

3. フードデリバリーだけに止まらないサービスの多様化

フードデリバリー事業を儲けの泉として、様々な事業拡大を行っている。

新しく参入した食料品小売業では300もの伝統的な生鮮市場の
オンライン販売やデジタル運営を行っている。
昨年7月には北京や深圳といった大都市だけではなく、
广州にもサービスを拡大した。

シェアバイク事業にても、
2020年第二四半期に約150万台の古い自転車を新しい自転車に交換したり、
29万台以上の電動自転車も導入した。

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                        (出典:thebridge.jp)

その他にも、
・B2B食品流通サービス
・小口融資事業
・車を呼ぶサービス

なども開拓し始めている。

「収益性」、「効率性」、そして「安全性」を反映している
経営指標の予想ROEを他の同業他社と比較した際、
全体的にデリバリー市場は右肩上がりだが、
その中でも美团には高いROEが予想されている。

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                      (出所:ブルームバーグ)

今後の成長

現在、美团はロボットやドローンによる無人配送の研究に力を注いでいる。

2020年のコロナ禍による外出禁止期間中に               宅配ロボットを使った非接触型配達サービスを開始したのだが、      この技術をより発展させることが出来れば、
人間が出入りしにくい場所に物資を届けたり、
人手不足の解消に繋がると思う。

設立からまだ11年しか経っていない比較的若い会社だということもあり、
今後の飛躍に期待だ。

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