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【新聞社の仕事】調味料だけで料理は作れない

原稿ない♪写真もない♪ないないばっかでキリがない♪現状はそんなで♪どうせなら♪アタマくらい♪綺麗な写真で組みたい♪夢を見ただけだ♪まるで原稿足りてない♪デスクため息刺激だよ

(T.M.Revolution「Level 4」Aメロの替え歌)

以前も書きましたが、私は新聞のうち、いわゆる地域面のレイアウトを担当しています。地域面を読んだことがある人は分かると思いますが、記事を見ると、いわゆる行政や警察系の原稿と、いわゆる催し物系の原稿、あとは人に焦点を当てた読み物系があります。

地域面に載せる記事がない

このうち、催し物系の原稿が、地域面において現在、圧倒的に少ないのです。うちだけではなくて、どこの新聞も同じだと思います。

このご時世、イベントが少ないことに加え、市井の人たちに直接会って取材をすることが難しいのです。それでもなんとか、写真を提供してもらったり、ズームでオンライン取材をして乗り切ったりしているそうですが、限界はあります。

最近ではワクチン接種が始まったので、その情報を詳しく掲載することで紙面の充実を図っていますが、それもないとなれば、レイアウトは大変です。

ご飯をおかゆにして…

料理にたとえれば、材料は茶碗半分のご飯。そこに調味料をいろいろ入れて、なんとか読者を満腹にさせてください、みたいな。写真を大きくするくらいでうまくいけば御の字。必要ないのに横組みにしたり、挙げ句の果てに見出しの数を増やすという本末転倒なことも。調味料どころではなく、言ってしまえばご飯をおかゆにして、かさましして紙面を作るしかないのです。

イベントだけじゃなくて、取材できるものはほかにもあるじゃないかと思うことはあります。きれいな花や動物の紹介だっていいじゃないか。いまならアジサイだって咲いている。でも、レイアウトの部署としては言いにくい。与えられた材料で輝かせるのが、こちらの仕事だから。

だから、素敵な記事や写真を見たときは本当にうれしい。その労に報いる仕事をしようと思います。

レイアウトの努力ではどうしようもない…そういうときに近隣地域の原稿を使わせてもらいます。見たことはないでしょうか。地域面の面名は自分たちの住んでる地域の名前がついているのに、大半がよその地域の記事…みたいな紙面を。

あとは、記事の段数を減らして、下の広告(自社もの)を増やすというウルトラCもありますが、それこそ読むスペースが減るのは読者サービスの低下になるので、最終手段です。広告収入が増えるわけでもないので、まさにこれは誰も得をしません。

働き方改革と紙面作りに矛盾?

地域面の原稿が少ないのは、ここしばらくの働き方改革で記者を休ませる流れができているのもひとつの理由だと思います。今までのような地域面の作り方では、面立てが破綻してしまいます。でも、きめ細かい生活情報を届けたいという会社の方針はわかるし、取引先である新聞販売店も、このページを売りにPRしている話も聞きます。

長く続いているものにはそれなりの理由があって、簡単には変えられない。

でも、変えるチャンスだとも思う。

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