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暑い!—気温にまつわるあれこれの話—

本当に今年は暑い日が続きます。
愛知県から東京に越してきたときには,「東京ってなんて夏が短くて,涼しいんだ!」なんて思っていたのですけどね。

実際,愛知県は梅雨の時期から9月いっぱいくらいまでずっと蒸し暑い日が続くのですよね。エアコンのない部屋で寝ていたので毎晩,汗との格闘でした。

蝉の鳴き声も,涼しい山の中で聞けば気分も良いのでしょうが,じとっとした夏の暑さの中で聞くとかえって「むかっ」とした気分を高めてくれます。

海外の多くの大学はすでに5月から夏休みということもあり,海外では多くの学会が6月から8月にかけて開催されます。
ということで私も7月に海外出張をすることが多いのですが,海外に出てみると逆に日本の暑さが際立つ感じがします。
なんといっても,暑いだけではなくて湿度が高いのですよね。

なんていう話をすると,

「こっちよりもこっちのほうが暑い」「いや,こっちのほうがもっと暑い」
「昔も暑かった」「昔より今の方が暑いに決まってる」

と,暑さ自慢なのか不幸自慢なのか,こういったやりとりもよく見かけます。

ということで今回は気温にまつわるいくつかの話をしてみましょう。

目次

・データを集める機関
・気温差はいくつ?
・最高気温の変化
・気温と性格形成

データを集める機関

気温はどこかで測定してもらわないといけませんよね。
今だと毎日皆が温度計で測ってTweetしてそれをまとめると各地域の気温マップができたりしそうです。

公的機関で地球の温度を測定しているところがいくつかあります。土地や海中に温度計を設置して,地球の温度を測定するのですね。

その主な機関は4つあって,
・NASA(アメリカ航空宇宙局)
・NOAA(アメリカ海洋大気庁)
・Met Office(イギリス気象庁)
そして
・日本の気象庁
なのだそうです。

気象庁は世界的に見ても貴重なデータを集める機関になっているようですね。

気候変動の予測には正確なデータが必要ですが,これらの機関のデータを研究者たちが分析しているようです。

「日本は暑い」「いや,昔も暑かったが我慢強かったんだ!」といった議論もありますが,やはりデータをちゃんと知っておくことは重要だと思います。

(ここから有料です。気温差を考えるときにありがちなバイアスや,実際の気温変化,気温と性格形成には関係するのかという話をしています)

気温差はいくつ?

次の2つの気温の差は何度くらいだと思いますか?直観でかまいませんので,答えてみてください。

・8月1日と8月30日の東京における最高気温の差
・7月15日と8月15日の東京における最高気温の差

過去の天気や気温を一覧で表示できるサイトがありますので,そこで2008年から2017年まで過去10年間の気温を探してみましょう。

・8月1日:平均31.9度
・8月30日:平均30.3度
・7月15日:平均32.1度
・8月15日:平均32.7度

計算すると以上の平均値になりました。

8月1日と8月30日の平均気温の差は,マイナス1.6度です。また7月15日と8月15日の平均気温の差は0.6度です。どちらも,ほとんど同じような気温だということです。

ところが,7月15日と8月15日にように,月をまたぐと「より気温差が大きいのではないか」と感じてしまうのではないでしょうか。

同じグループに入っているものは,違うグループに入っているものよりもより似ていると考えてしまう傾向があります。気温を考えるときにも,このようなことが判断に影響を与えてしまうというひとつの例です。

最高気温の変化

過去50年くらいの間でも,気温は上昇しているのでしょうか。

東洋経済の記事「東京の夏が「昔より断然暑い」決定的な裏づけ」にも書かれていましたが,そこまで大規模ではなくても,簡単に過去のデータを集めて分析してみようと思いました。

1961年から2018年までの,7月1日,5日,10日,15日,20日の東京の最高気温を調べてみました。
それをグラフに描くと次のようになります。

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これでは,最高気温が上昇しているのかどうかがよくわかりませんね。年によって上がったり下がったり,差がとても大きく見えます。前の年の最高気温が25度以下だったのに,次の年には35度を超える,ということもよくあるようです。

そこで,各年の最高気温を倉糞点で描いて,近似直線を引いてみましょう。

この直線が上の方を向いていれば(右側の方が上がっていれば),7月の東京の最高気温は最近になるほど上昇する傾向にあるということを意味します。

画像2

7月の5日それぞれの直線を描いてみましたが,やはり最高気温は少しずつ上昇しているように見えます。

それぞれの日の最高気温と観測年との相関係数 [95%信頼区間] を計算すると,
・7月1日:r = .26 [.00 - .49]
・7月5日:r = .19 [-.08 - .43]
・7月10日:r = .34 [.08 - .55]
・7月15日:r = .17 [-.10 - .41]
・7月20日:r = .21 [-.05 - .44]
となりました。いずれも低い正の相関係数ですが,統計的に上昇していると言えそうなのは7月1日と7月10日だけでした(ある日の気温が高く(低く)なると次の日の気温も高く(低く)なる傾向がありますので,もっと適切な分析方法があると思うのですが,ここではシンプルに相関だけ出してみました)。

しかし,全体的に低い値ではあっても正の相関になっていて,ざっとデータを集めてみただけでも気温の上昇傾向は見られるものなのだなと思いました。

年によって上がり下がりは相当差が大きいものの,全体的には本当に緩やかに上昇している様子がうかがえます。

気温と性格形成

気温がそこで育つ人々の性格に影響を与えるという研究もあります。

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