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おしゃれな論文タイトル

以前,本のタイトルをつけるのが苦手だという話をしたことがあります。タイトルをつけるのがとても上手な人っていますよね。そういう人を見ると,うらやましく思えます。

この記事です。ただ,その話題は最初だけですが。

しかし,おしゃれなタイトルって,どうやったら思いつくのでしょう。なかなか思い浮かばずに,本当に困ることがあります。


アブストラクト

論文には「アブストラクト」と呼ばれる「全体の要約」がつけられることが多いのです。アブストラクトを読めば,論文全体がおおよそどんな内容になっているかがわかります。心理学の私の研究領域だけでも,日々数え切れないほどの論文が世界中で発表されますので,ざっと内容を把握することはとても大切です。

ちなみに先日の学会の際に雑談の中で,「アブストラクト」という名前のワインがあることを知りました。論文執筆中にあまり聞きたい名前ではないので,論文が採択されたお祝いには良いかもしれません(?)。

検索してみたら,「アブストラクト」という名前が入ったクラフトビールもありました。こちらも試してみたいですね(同じく論文が採択されたときに……)。

メディア向け要約

雑誌によっては,「論文の紹介記事用に,わかりやすく難しい文体を使わずに,一般の人向けの要約を書いてください」と求められる雑誌もあります。

論文のアブストラクトとは別に,このようなものをつける理由は,一般向けの記事にしやすかったり,まとめ記事に入れやすかったり,SNSでの拡散などを狙ってのことだと思います。

論文もネットで拡散されることが求められている,という時代なのです。

箇条書き要約

最近海外の雑誌の中には,5つくらいの箇条書きの要約をつけるものもあります。アブストラクトの他にです。ハイライトと呼ばれることもあります。

これは,アブストラクトよりもさらに要約して,たった数個の文で論文の「宣伝をしてください」ということです。アブストラクトよりもさらに短時間に論文の内容を把握できますので。Twitterのタイムラインを眺めるようなものです。

このように見てくるとなんだか……研究の世界もイメージと違っているでしょうか。

アブストラクトなタイトル

最近,海外の論文執筆法の中では,
◎タイトルは論文全体の短い要約であることが望ましい
と言われることがあるようです。

タイトルを見れば,論文で何がされているか,さらには結論が何であるかもわかってしまうというケースの論文です。

たとえば,よくあるタイプのタイトルが
○○と△△の因果関係の検討
といったものだとすれば,これを要約タイトルに変えると,
○○は△△に影響する
という形で,それだけで結論として使えてしまうタイトルにするというわけです。

○○の△グループ間の検討
といったタイトルであれば,結果も踏まえて
□グループは○○が高い
といったタイトルにしてしまうということですね。

日本パーソナリティ心理学会で論文賞を受賞した相馬先生の論文,『攻撃的な人が不味い飲み物を与えるとき―挑発的行為と制御資源による影響』も,「読んでみたい」と思わせるタイトルだな,と思いました。論文の内容も面白いので読んでみてください。青汁とかせんぶり茶が実験に使われています。

ちなみに,「タイトル」という名前が入ったワインやビールは存在はしているのかもしれませんが,見つかりませんでした。

何分バージョン?

海外の大学に勤める知り合いが言っていたのですが,学会で発表(ポスター発表)をする際には,説明の長さを変えた何パターンかの説明バージョンを用意して覚えていくそうです。

◎フルバージョン(10分)
◎短縮版の説明(5分)
◎超短縮版の説明(1分)

といったように。ポスターでの研究発表でふらっと来てくれた研究者に「時間はありますか?」と尋ね,時間がなさそうだと判断した場合には,目的と結論だけの「超短縮版の説明」をするのだそうです。

この,複数の説明パターンが,「論文全体」「アブストラクト」「要約としてのタイトル」という対応によく似ているなと思ったことがあります。

ひねったタイトル

ちょっとひねったタイトルの論文を見つけました。こちらです。

Putting the “IRT” in “Dirty”: Item response theory analyses of the Dark Triad Dirty Dozen—An efficient measure of narcissism, psychopathy, and Machiavellianism.

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