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炎症を引き起こす食べ物は精神的健康も悪化させるのか

割引あり

炎症誘発性食品とか,炎症惹起性食品という,食品の分類や測定方法があるそうです。

『食事療法における指標と指導のパラダイムシフト:食事炎症性と食事性酸負荷』という論文を見ると,ハーバード大学で開発された指標が掲載されています。摂取カロリーや食塩摂取など昔から言われている食事に対する考え方から,他の枠組みへと移行してきているとのことです。


炎症惹起性

ハーバード大学の指標では,炎症を引き起こす可能性のある食品として,次のものが挙げられています。加工肉,赤身肉,臓物,その他の魚介類(ツナ缶,エビ,貝類,赤身魚以外の魚類など),その他の野菜(セロリ,マッシュルーム,グリーンペッパー,コーン,なす,ズッキーニなど),精製穀物,高エネルギー飲料(砂糖入りのコーラなど),低エネルギー飲料(低カロリーのコーラなど),トマト。どうして「トマト」が入っているのかはよくわからないのですが……。

また,炎症を抑える食品として,次のものが挙げられています。にんじん,かぼちゃ,さつまいも,緑色葉野菜,フルーツジュース,ワイン ,ビール,紅茶,コーヒー,スナック(ポテトチップス,ポップコーンなど),ピザ。スナックはこっちでいいの?とか,ワインはいいと聞くけれどビールはこっちなのか,とか,トマトはダメでピザはいいの?とか,直観的にはちょっと不思議な分類に思えます。

食事習慣は日本とアメリカでずいぶん違っていそうですので,日本人にとって適切な指標があるのかもしれません。その点も論文の中で挙げられています。日本でよく食べられる卵が炎症性食品に含められたり,青魚を炎症を抑える食品に含められたりしています。


精神疾患

精神的な問題は,世界中で大きな問題となっています。

そして,先の炎症性食品という枠組みは,精神的な問題にも関連するのではないかと言われているようです。本当でしょうか。

食事が炎症に影響する程度を評価する指標として,Dietary Inflammatory Index(DII)があります。この指標は,さまざまな炎症マーカーとの関連から検証されているそうです。

そして,DIIが高い食事をとる人ほど,うつ病のリスクが高いことも報告されているとか。とはいえ,関連はあまり明確でもないようです。そこで,複数の精神的健康の問題と,炎症を引き起こす食事との関連をメタ分析で検討したらどうなるかという研究が行われています。こちらの論文を見てみましょう(Association Between Dietary Inflammatory Index and Mental Health: A Systematic Review and Dose–Response Meta-Analysis)。

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