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女性の学歴と子どもの人数

こういう話を聞いたことはありませんか?

◎高学歴の女性ほど,生む子どもの数が少ない

そしてこの話は,こういう話につながりがちです。

◎だから,国全体の知的能力は次第に低下していく

こういった話は,100年以上前から繰り返し行われているものです。さて,皆さんはどう考えるでしょうか。

女性の学歴と出生数

多くの西洋諸国において,時代を経て女性の高学歴化とともに,出生率が低下してきていることから,教育水準と出産との関係が注目を集め,研究も行われてきています。

とはいえこれまでの研究の中では,いくつかのことが明らかにされてきています。

◎女性の高学歴化はライフコースにおいて出産と競合することになるが,必ずしも学歴が低い女性に比べて家族サイズを小さくしようと計画するわけではない
◎高学歴の女性は,最初から出産数を少なくする計画を立てる人もいれば,ライフコースの中でそれを選択する人もいる
◎高学歴の女性は低学歴の女性よりも,出産を延期する傾向があり,結果として子どもの人数が少ない傾向へとつながる

高学歴の女性は,どうしても加齢に伴う繁殖力の低下により,子どもの人数が少なくなる傾向があること,同時期に従事しなくてはいけない活動があるために,出産の延期を繰りかす傾向があるとされます。また,そもそもパートナーとの関係が不安定であったり,パートナーが不在である傾向もあると言われています。

こういったことは個々人の選択の要因もありますが,社会全体でどのようなシステムが望ましいかを考えるべき問題であるとも言えるでしょう。

では実際に,どのような特徴を持つ国で高学歴の女性の出産が抑制されがちなのでしょうか。ヨーロッパ27か国を対象にした研究から,どのようなことが言えるのでしょう。こちらの論文を見てみましょう(On the positive correlation between education and fertility intentions in Europe: Individual- and country-level evidence)。

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