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Trick or Treat. ハロウィン衣装の発達心理学

先日,ショッピングモールに行ったらもうハロウィンのグッズが売られていました。まだお盆前でしたので,思わず「ハロウィンって10月末だよね?」と確認してしまいました。

ということで,見出し画像はテキサス州オースティンのセントラルマーケットで売られていたハロウィンカボチャです。セントラルマーケットは,テキサス州の大手スーパーH.E.B.系列の,高級&オーガニック路線のスーパーマーケットです。入ってみると,とても楽しい場所です。調理された食材もたくさん売られていて,店外のテーブルや横にある公園で食べることもできます。

セントラルマーケットは,ホールフーズマーケットほど高級路線ではありませんけどね。ちなみにホールフーズマーケットも,テキサス州オースティンが本拠地です。Amazonの傘下に入ってしまいましたけれども。


コスチューム屋さん

オースチン郊外に,ハロウィンの前だけに開くコスチューム屋さんもありました。お店の様子を何枚かの写真で見てみましょう。

たとえば,顔や肌に貼り付けてゾンビ感を出すグッズです。

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幽霊3きょうだいは199ドルらしいのですが,隣の死神はいくらかわかりません。庭に置いてあって夜何も知らずに入ってきたら怖そうです。

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これもなかなか怖そうなお化けカボチャです。顔と胸のあたりが光ります。299.99ドル。さっきの写真とこの写真は,noteの見出し画像に使いました。
ダークな性格の持ち主の睡眠と学部選択
病気になりやすい性格はあるのか

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いやいやいや……これ,小さな子どもが夜庭に入ってきたら泣きますって。しかも,左手に逆さに持った子どもをぶんぶん振り回すのですよ。これも299.99ドルです。よければお買い上げ,どうぞ。

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コスチュームを着て登校

ハロウィンの日は,子どもたちもコスチュームを着て登校します。強制ではなく,着たければ着ても良い,という日だということです。この日の午後,特にミドルスクールに迎えに行くと,生徒たちがいろいろな格好をしていて面白かったです。恐竜になっていたりぬいぐるみになっていたり,ピクルスや何かの瓶や楽器やなんだかよくわからない格好やら。

先生たちもコスチュームを着て授業をします。小学校の校長先生もバッチリ決めて校舎から出てきていました。

ハロウィンのコスチューム研究

これだけ多くの子どもたちがコスチュームを着るイベントなのですから,それを心理学の研究で使おうとする研究者がいてもいいわけです。

たとえばこの論文(Age and Gender Differences in Children's Halloween Costumes)です。小学生と幼稚園(プレスクール)の子どもたちに,どんな仮装をしてきたかと,来年どんな仮装をしたいかを尋ねています。

得られた回答を,大学生が評定します。「どれくらい男性らしいか」「どれくらい女性らしいか」「どれくらい怖いか」。

結果から,男の子の場合はより低い年齢ほどより男性らしいコスチューム,年齢が上がるほど女性らしいコスチュームを着る傾向がありました。女の子の場合は逆に,低い年齢ほど女性らしいコスチューム,年齢が上がるほど男性らしいコスチュームを着る傾向が見られました。男女とも,年齢が上がると「男の子らしさ」「女の子らしさ」ではないコスチュームの志向性が見られたということです。

より最近の研究

次の論文は,幼稚園(プレスクール)の子どもたちを対象にしたものです。さきほどの論文は1993年,こちらの論文は2017年に刊行されていますので,ジェンダーステレオタイプの様子も違うかもしれません。

こちらは幼稚園の子どもたちと親が対象になっていますので,小学生を対象にした先ほどの論文とは年齢の範囲が違っています。

結果を見ると,男の子は男の子らしい,女の子は女の子らしいコスチュームを着る傾向があったのですが,より年長の子のほうがそれぞれの性別らしい服を着る傾向にあったそうです。また面白かったのは,親がハロウィンのコスチュームを選ぶことに関与した子ほど,男の子らしい・女の子らしい性別ごとの服装では「ない」コスチュームを選ぶ傾向があったそうです。



衣装と子どもたちの発達

子どもたちのハロウィンのコスチュームを思い浮かべると,男の子たちはマーベルDCコミックスのヒーローたち,女の子たちはディズニーのプリンセスたちの格好が多い印象でした。

ハロウィンの衣装といえど,そこには子どもたちのジェンダー意識の発達を反映しており,またそこには親子関係のあり方や,親のジェンダー意識の反映,親のジェンダー意識がどのように子どもに伝わるかなど,子どもたちの発達にとって重要な要素が含まれているということなのですね。

日本の子どもたち

日本の子どもたちの性役割観はどのように変化していくのでしょう。

この論文では,小学生を対象に性役割観の柔軟性(男しか,女しかできないということはないという考え方)に注目して,発達的変化と影響する要因を調べています。

学年が上がるにつれて,子どもたちの性役割は柔軟になっていく傾向が見られました。また,男の子の性役割観の柔軟性にはテレビ番組や父親の家事参加が影響しており,女の子の柔軟性には親が性役割にとらわれない職業への期待を持つことが関係していたようです。

この論文も約20年前の子どもたちを扱ったものです。いまの日本ではどうなっているでしょうね。

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