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地域のパンデミックの歴史と新型コロナ対応

国によって,新型コロナウイルス感染症への対応の仕方や,人々の反応の仕方には随分違いがあるように思われます。もしかしたら,過去の災害や病気の広がりの地域差が,その地域に生きる人々の振るまい方に影響を与える,ということがあるかもしれません。

そういった現象は,人間に外の動物でも見られるそうです。

たとえば,多くの動物は,住んでいる場所をきれいにして,衛生に気をつけ,他の個体と社会的距離をおいたり,病気の個体を隔離したり集団から追いやったりすることで,病気の治療だけでなく予防的な行動をとるそうです。毛づくろいや日光を浴びること,自然界にある抗菌物質を知っていて利用するといった行動も見られます。


生活史理論

生きている中でどのあたりに資源を投入するか,という戦略から生物や人間のライフサイクルを捉える見方があります。これは生活史理論(ライフヒストリー理論)と呼ばれていまして,おおよそ2つの相反する「戦略」があると考えられています。

r戦略・短期的戦略
◎性成熟の速度が速い
◎生涯パートナー数が多い
◎子どもの数が多い
◎養育への投資が少ない

K戦略・長期的戦略
◎性成熟の速度が遅い
◎生涯パートナー数が少ない
◎子どもの数が少ない
◎養育への投資が多い

新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックに対する対応の仕方にも,これらの生活史戦略が関連すると考えられています。

たとえば長期的戦略(K戦略)をとるなら,しっかりと栄養を補給して,日常生活に注意を払ってできるだけ感染を避け,合理的な思考や計画性を重視しながら生活すると考えられます。逆に,短期的戦略(r戦略)をとるのであれば,迫ってくる危険にさらされる前に目の前の報酬を得ようとしていくと考えられます。

地理的歴史とパンデミック

世界の各地域で病気が流行した歴史と人々の生活史戦略が,政府が移動の制限を発出するまでの期間やパンデミックになってからの人々の移動の変化にどのように関連するかを検討した研究があります。この論文を見てみましょう(Disease History and Life History Predict Behavioral Control of the COVID-19 Pandemic)。

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