サイコパスは感情を認識しにくい?
コミュニケーションを行う中で,相手の表情を識別して認識することは,不可欠なスキルのひとつです。顔から感情表現を読み取って,同じような感情状態に同調することは,非言語的コミュニケーションのもっとも一般的で重要なポイントです。
阻害要因
感情を認識することに対して,阻害要因となると考えられるふたつの心理要因を挙げることができます。ひとつはサイコパシーで,もうひとつはアレキシサイミアです。これらはいずれも,表情を認識することが困難で,感情処理に問題が生じると考えられています。
◎サイコパシー:感情を抱きにくい,共感の欠如,冷淡で道徳心や倫理観に乏しい
◎アレキシサイミア:感情の識別や病者が困難,感情的興奮があると,感情と身体感覚の識別が困難
類似性
サイコパシー傾向とアレキシサイミア傾向との間には,共通点や類似点があります。しかし一方で,サイコパシーは反社会的行動へとつながりやすい一方で,アレキシサイミア傾向にはそのようなことは指摘されません。
実際,両者の間にはプラスの関連があると報告する研究もあれば,マイナスの関連を報告する研究も,そのような関連は見られないとする研究もあるのです。
そもそも,これらの心理特性の高さは,表情を認識したり区別したりすることに関連するのでしょうか。表情を示して感情を当てる課題で,サイコパシーとアレキシサイミア傾向の効果を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Difficulties in facial emotion recognition: taking psychopathic and alexithymic traits into account)。
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