サイコパシー的な父親は自分に似た子どもに資源を投資する
「オスは養育よりも繁殖に投資し,メスは繁殖よりも養育に投資する」ということが,進化の文脈で言われたりすることがあります。そして,同じような現象が人間でも見られるということも指摘されます。母親は父親よりも子どもに資源を注ぎ,父親はそうでもない,といった現象を説明するときに,この他の動物にも当てはまる説明でなされるということです。
個人差
とはいえ同じ人間同士であっても,その傾向がどれくらい生じるかという個人差があります。この「どれくらい子どもに投資するか」という面でも,人によって「自分は子どもにとても手をかけている」という父親もいれば,「放っていて母親任せ」という父親もいるというわけです。
そして,この個人差の部分にパーソナリティ特性が関連するのではないかという研究が結構ありまして,世界中で研究が行われています。
特に,自己中心的で冷たい感情を中心としたダークな側面のパーソナリティ特性や,その逆に他者に対して慈しみや暖かさを示すパーソナリティ特性は,社会の中で「それは自分勝手じゃない?」と思われるような行動との関連が想定されています。
自分と似た子ども
特定のパーソナリティを持つ父親が自分と似た子どもをもったときに(あるいは自分の子どもがより自分に似ていると感じたときに),より投資をするのではないかということを検討した研究があります。この論文です(Fathers high in psychopathy invest more in offspring who resemble them)。
この研究で注目するのは,「顔の類似度」と「パーソナリティの類似度」です。
調査に参加したのは,158組の父親と子ども(6割が女性)です。子どもたちは,平均15.5歳の思春期の年代でした。
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