離婚した女性における自尊感情の役割
各国で,離婚件数が高くなってきていることが問題視されているようです。
これまでの多くの研究が,離婚には抑うつ,悲嘆,怒りの感情を伴うことを報告しています。また,個人の健康,心理面の悪影響,適応状態の悪化に影響することが示唆されています。
離婚後
離婚後に,その出来事に対してどのような適応が生じるのかについては,しばしば「喪失」のモデルが適用されます。離婚後の抑うつや不安にどのように対処していくかについては,大きな問題です。
離婚後の予後を悪くする要因としては,経済的な問題,離婚した元配偶者への愛着が残ること,離婚後の家族葛藤などを挙げることができます。また,社会的な支援,個人内の心理特性,家族の資源などは予後の悪化を防ぐ保護因子となります。
回復
苦痛やトラウマティックな出来事が生じたからと言って,問題だけが生じるわけではありません。
ストレスを経験することでそこから成長すること,心的外傷後成長,レジリエンスなどは,ネガティブなライフイベントに対するポジティブな人生の変化を促します。
離婚後の適応は,個人差があると考えられます。結婚生活が終わってすぐに適応できる人もいれば,なかなか危機的な状態から逃れられない人も存在します。この個人差がどうして生じるのかを検討する価値はあります。
離婚後の適応プロセス
離婚をした女性の自尊感情,喪失感,そして離婚後に成長する可能性について検討する研究があります。離婚後の成長は,心的外傷後成長(PTG)に注目します。
まず,離婚後の心的外傷後成長を何が予測するのかを検討します。そして,離婚後の喪失感と心的外傷後成長,自尊感情の関連を検討します。
では,こちらの論文を見てみましょう(Between the Sense of Loss and Posttraumatic Growth: The Role of Self-Esteem and Initiator Status)。
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