見出し画像

図書館で働く人々の知識の共有と性格

図書館司書の削減が全国で長期にわたって続いていて,どこの図書館も非常勤や派遣,嘱託職員ばかりになっていることが問題視されることもあります。図書館で働くという仕事の専門性が理解されていないことが多い印象があります。専門職で社会にとって不可欠な職業だという認識を多くの人が持ってほしいと,常々思っているのですが……

知識の共有

課題を解決したり,新しいアイデアを作り出したり,政策などの実行のために他者を助け,他者といっしょに働くための課題やノウハウに関する情報を提供することを,知識の共有といいます。私たちは自分の知識を共有することで,関連する分野のアイデアを発展させ,理解することができます。お互いに知識を共有することが,個々人にとって重要なだけでなく,社会にとっても重要な行為です。

このような行動に,パーソナリティ(性格)はどのように関連するのでしょうか。たとえば,新しい知識に対して柔軟な態度を見せる開放性は,知識の共有に関連しそうです。また他者との協働につながりそうな協調性も関連しそうです。

図書館での調査

そして図書館というのは,まさに知識が共有される場所です。図書館で働く人たちは,どのような知識の共有をする傾向を示すのでしょうか。また,知識の共有にビッグ・ファイブ・パーソナリティがどのように関連するのでしょうか。

今回紹介する研究は,パキスタンの大学図書館で働く人たちを対象におこなわれた調査データを分析するものです。どのような結果が報告されているのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Big Five Personality Traits and Knowledge Sharing Intentions of Academic Librarians)。

ここから先は

958字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?