禁煙に必要な心構え

私自身,若い頃は喫煙者でした。

今の感覚だと,「たばこを吸っていたの!」と驚かれてしまうかもしれないのですが,私が学生時代にはたばこを吸うことはまったく珍しいことでもなく,男性喫煙率は今よりもずっと高く,大学生(特に男子大学生)にとってたばこを吸っている姿は「当たり前の光景」でした。

大学院に入ってからも喫煙は続けていて,昔は学会会場の喫煙所で知りあって仲良くさせていただいた先生もいらっしゃいました。

本当に,今では少なくなりましたけどね。

禁煙

その後,苦労して禁煙することになったのですが,「どうしてやめることができたのですか」と尋ねられることもあります。自分自身,なかなか依存傾向があるほうだと自覚していますので,「よくやめることができたな」と不思議に思います。

基本的に面倒くさがりなので,「面倒なことをしないと吸えない」状況をつくったのですけどね。研究室で扉を開けないと吸えないとか,歩いて向こうの方まで行かないと吸えないとか……でも,決定的なところはもうよく覚えていません。

というわけで,今回は禁煙の研究を見てみたいと思います。この研究では,「自分は喫煙者である」とか「自分は非喫煙者である」といったように,自分の「自覚」が禁煙に影響するかどうかを検討しています。論文の中では喫煙者アイデンティティと呼んでいます。確かに,本来じぶんは喫煙者ではない,と思っているのに喫煙しているというズレがあると,禁煙につながりそうではあります。

果たしてどうなるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Quitting smoking: The importance of non-smoker identity in predicting smoking behaviour and responses to a smoking ban)。

ここから先は

1,266字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?