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インスタでいじめたくなるこころ

割引あり

数年前までは,心理学の研究でSNSを扱うときに圧倒的に多かったのは,Facebookでした。Facebookを研究で利用する際には研究上の利点があります。というのは,Facebookは実名登録が基本だからです。そして,世界中に普及しています。投稿された記事が誰のものなのかが明確ですので,個人を特定してデータを紐づけて分析していく研究者にとっては,とても便利なツールなのです。

しかし近年,日本国内でもアクティブなユーザー数は,Facebookよりも断然利用者数が多いSNSが多数存在しています。世界的に見ると,Facebookが圧倒的な利用者数なのですけどね。


インスタ

Instagramは,どちらかというと日本では若い世代で人気のあるSNSで(とはいえ,年々時代は変わっていきますので),青年期の発達や幸福感にとっても重要な役割を演じているという研究もあるようです。まあ,SNSというのは若い世代が初めてそのまま年をとっていって,また若い世代は別のものをはじめて年をとっていって……ということがありがちなのですけれども。


妬み

インスタのようなキラキラした投稿が続くSNSは,若者たちにとって社会的比較や妬みの温床になります。この時期は,現実の人間関係の中でもよく比較が起きて落ちこんだり,さまざまな感情を抱いたりするものです。ネットだとさらに比較対象が多くなって,自己評価も大きく揺れ動きそうです。

キラキラした様子の他の人を見て,ネガティブな感情を抱くこともあることでしょう。自分と他の人を比較して,他の人が望ましいと考えられるものを持っていると認識するときに,妬みが生じてきます。インスタは,妬みを発動するような仕組みをもたらすかもしれません。

ネットいじめ

Instagramは社会的な比較を誘発しやすく,妬みや羨望をもたらしやすいと考えられます。これは,ネットの中でのいじめにつながる条件へとつながっていく可能性があります。

このあたりの関係について,何か研究知見はないのでしょうか。実際に調査をおこなった,こちらの論文を見ていきましょう(#Instacomparison: Social Comparison and Envy as Correlates of Exposure to Instagram and Cyberbullying Perpetration)。

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