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開放性と創造性とリーダーシップ

ふとしたときに新しいアイデアを思いつき,その思いつきが硬直した問題を一気に解決する方向へと進めることがあります。そのような人の姿を見ると,「創造的(クリエイティブ)な人だな」という印象を抱くものです。

これまでの研究では,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのなかの開放性が,創造性に関連することが知られています。開放性はもともと「経験への開放性」と呼ばれていたように,自分の経験を閉じることなくいろいろなことに開かれていて,興味や関心の幅が広く,芸術や学問も受け入れ,因習に囚われず,自由な発想を好む傾向を意味します。

開放性と創造性との間の関連は,研究によっては0.50以上を示すこともあるようです。ただしたぶんこれは,自己報告式の開放性の測定と,自己報告式の創造性の測定の場合ですね。創造性検査を使った研究の場合には,もう少し相関係数は低くなりそうです。

仕事で

仕事の中でも創造性を発揮することは重要です。しかし一口に創造性と言っても,中身が異なるようそのものが混在しています。

◎増加的創造性:既存の枠組みに小さな変更を加えるような創造性
◎ラディカルな創造性:既存の枠組みから大きく逸脱した変更を加えるような創造性

新商品の開発という場面を考えても,これまでの商品を改良していくような地道な創造性も必要ですし,一気にこれまでのコンセプトを壊して新しいものにするような創造性が必要とされる場面もあります。これらの両側面の創造性は,どちらも重要なものです。

状況要因

それぞれの創造性は,状況によって発揮のされ方も変わると考えられます。増加的な創造性は状況を改善する必要性や報酬によってもたらされる可能性が高く,ラディカルな創造性は内発的で自分自身の楽しみや喜びから発揮される可能性が高いと考えられます。

そして,パーソナリティ特性の開放性は,どちらの創造性にも関連すると考えられます。もともと開放的で創造性を発揮しやすいパーソナリティの持ち主は,どんな環境の中で創造性を発揮しやすくなるのでしょうか。なかなか複雑な関係性が見られそうなのですが,開放性と創造性,そして組織のリーダーのスタイルとの関係を検討した研究があります。こちらの論文が何かのヒントになるでしょうか(Effects of Openness on Incremental Versus Radical Creativity and the Moderating Role of Leader Behaviors)。

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