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下の子どもほど反抗しやすいのは本当か

長男長女は家族や社会の規範に適合するような役割を採用して,親との間に調和的な関係を形成する傾向があり,第二子以降はそうではない,という考え方があるようです。また,後に生まれた子どもは,長子とは異なり,より反抗的なパーソナリティ特性を持ち,伝統にあまり志向しない世界観をもつ可能性があるとも指摘されています。

こういった考え方は,心理学者のフランク・サロウェイの本で広く知られることになりました。

出生順

でも問題は,明確な証拠が得られるかどうかです。

出生順の効果というのは,これまでもいろいろと検討されていますが,だいたいにおいてとても「小さな効果」しか観察されません。卒業研究なんかでも「きょうだい順の違いを知りたい」と言われることはあるのですが,「千人とか二千人とか,それくらいの調査をする意欲はありますか?」と,つい尋ねてしまいます。だって,少なくともそれくらいのサンプルサイズがないと,効果が検出できないのですから。

さて今回の研究ですが,第二子以降がより反抗的になるということを,「タトゥーを入れるかどうか」で検討しています。アメリカなんかではタトゥーを入れるのが一般的になってきているものの,国によってはやはり反抗の象徴だったりするでしょうから,ひとつの反抗の指標となりそうです。では,こちらの論文を見てみましょう(Birth order, personality, and tattoos: A pre-registered empirical test of the ‘born to rebel’ hypothesis)。

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