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医療施設におけるレイプ事例の整理

割引あり

今回はちょっと変わった観点からの研究を紹介しましょう。

たまに,医療現場での性的被害が問題になることがあります。海外でも同じような事例は存在するのでしょうか。また,どのように報告されているのでしょうか。今回はそのような内容をまとめた研究の紹介です。



医療現場の性的加害

レイプというのは,重大な人権侵害であり,生存者に深刻な身体的・心理的問題をもたらす行為です。レイプは,社会的に広く認識されている問題なのですが,医療現場や介護現場でのレイプ事例というのは,あまり知られていません。

ケアや治療,サポートや癒しが期待される現場は,患者と医療提供者,医療提供者同士との間に権力関係の不均衡が生じやすく,この不均衡を背景に安全性が損なわれる可能性があります。

権力関係の不均衡は,検査中や処置中,麻酔中など,患者が脆弱な状態にある場合に悪化する可能性があります。また,制度的にも教育的にも,性的暴行の予防と対処について不十分な状況が世界的にも見られるようで,加えて適切な報告制度に欠けている現場もあることから,加害者に有利な状況が続いていると言われます。

文献から

医療従事者による性的加害は,どのような背景や特徴のもとに生じやすいのでしょうか。また,では,このような研究をおこなうにはどのような方法があるのでしょうか。

今回の研究は,これまでに公表された医療現場における性的被害の問題について取り上げた研究をレビューすることで,背景要因を探るものです。文献のレビューから,どのようなことが見出されるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Healers that hurt: a scoping review of media reports of cases of rape in healthcare settings)。

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