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「完璧ではない主義」で仕事をこなす

今回は,あれこれと頼まれる仕事,特に仕事柄,原稿を依頼されることが多いのですが,そういう「頼まれた仕事」に対してどういうスタンスで取り組んでいるかについて,とりとめもなく書いてみようと思います。

私自身の研究業績一覧はこちらの通りです。

このリストの中には,書籍とか書籍の中の一章とか,一般向けの雑誌の記事とか,翻訳とか,さまざまな頼まれて書いたものが含まれています。基本的に専門的な論文は書きたくて書いているので,頼まれる仕事とは少し質が違います(といっても共同研究者からのプレッシャーがあるケースもありますが)。

だいたい,複数のことを並行して進めていて,日々できることを進めているという感じです。なかには,数年がかりになるものもあります。

仕事を頼まれるというのは,ありがたいことです。ただ忙しくて「これは無理かも」と思うこともありますし,どうしてもモチベーションが出てこずにしばらく放っておくこともあります。


完全主義では回らない

「仕事はちゃんとしなければならない」というのも一面では真実なのですが,完全主義では物事はうまく回らない,ということもよく思います。だんだんとこなさなければならない仕事が増えてくると,ますますそういう思いが強くなっていきます。

でも,どのくらい完璧に仕事をこなすかという,このあたりのバランス感覚はなかなか難易度が高いものがあるのです。想定が外れると,「あの人の仕事はいい加減だ」「仕事のクオリティが低い」「もう少しちゃんとやってくれる人に次は仕事を回そう」という話になってしまいます。

今の仕事をするようになって,出版社に勤める編集者の皆さん(心理学系の本を多数出している出版社は特に)が,我々が書く内容や文章のクオリティ,何を出版しているのかについて,とてもよく知っていることに驚いたことがあります。どのような仕事をしたとしても,「見ている人は見ているものだ」と感じました。

ちなみに,完全主義か完璧主義かという言葉の問題について先日書きました。


締め切りのずっと前

私の場合,「まあこれくらいでいいか」という基準を自分の中に作っていて,それを満たすものができたら締め切り前でも原稿を送ってしまうということをよくやります。原稿を送るのが,ときには締め切りの数ヶ月前ということもあります。

依頼された先方には驚かれるのですが,1年間の締め切りというのはだいたい重なることが多く(年度末とか夏休み終わりとか),そこで原稿を多数抱え込むのが嫌なので,取り組みやすい原稿についてはできるだけ先に仕上げて送ってしまうことにしています。

原稿を書いてから時間が経つと,自分が書いたものでも冷静に見ることができるようになるもので,時間が経って校正が送られてくると,意外とそういうものの方がうまく直せるようにも思います。

もちろんすべての原稿が早く仕上がるわけではなく,書けるものは早く,書けないものはやはりぎりぎりまでかかります。原稿を落としてしまったことがないわけではありませんが,それは何らかのトラブル(連絡ミスなど)が原因だったと記憶しています。

特に締め切りがない原稿というものもあります。そういう場合には書き出せないまま数年経ってしまうこともあります。書き始めればそれほど時間はかからないのですが,やる気がなかなか出なかったり,全体像が浮かばなかったり,書き始めるまでに意外と時間がかかるものなのです。

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