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公園の近くに住むと問題が発生する条件とは何か

私がいま住んでいるのは,大きな公園や森があって,東京都の中でも緑が豊かな地域です。家の近くに緑があると,何かよいことが起こるのでしょうか。

これまでの研究では,家の近くに公園があることによって,次のようなことが生じると報告されているそうです。

◎身体活動や社会的交流が提供され,コミュニティの幸福が高まる
◎緑が近くにあるだけで,ストレス,怒りや攻撃性が軽減する
◎反社会的行動が抑止される
◎社会的交流が増加し,相互監視を高めることで,地域の安全につながる


社会的無秩序

特に公園は,社会的な無秩序状態との関連も指摘されています。社会的な無秩序状態というのは,たとえば落書きや破壊行為などの物理的要素と,ギャングや違法薬物などの社会的要素を両方含むものです。

公演が地域に整っていると,社会的な無秩序状態を抑制するのかと思いきや,そうとも言えないようです。

都市の中に公演があるかどうかよりも,やはりその公園をどのように管理運営しているかによって,結果は変わりそうです。照明が少なかったり日没後に人の目が少なくなったり,木が生い茂って死角が多いなど,一定の状況下では,公園が犯罪の温床になり,人々の安全を損なう状況を作りだすことになってしまいそうです。

公園の近さ

そこで,近くに公園があるかどうかという状況が,自宅周辺の無秩序さと関連するのかどうかを検討した研究があります。公園だけでなく,自宅周辺の舗装されていない道路や街灯の少なさ,廃屋など荒廃しがちな地域に住んでいるかどうかについても検討されています。

では,この論文で結果を確認してみましょう(Is self-reported park proximity associated with perceived social disorder? Findings from eleven cities in Latin America)。

分析に用いられたデータは,ラテンアメリカの11の都市に住む12905名が参加した調査プロジェクトによるものです。ブエノスアイレス(アルゼンチン),ボゴタ(コロンビア),カラカス(ベネズエラ),フォルタレーザ(ブラジル),ラパス(ボリビア),リマ(ペルー),メキシコシティ(メキシコ),モンテビデオ(ウルグアイ),パナマシティ(パナマ),キト(エクアドル),サンパウロ(ブラジル)で調査が実施されています。

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