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博士号を取った後で何をするか

私が博士号の学位を取ったのは2000年3月でした。指導教官の退官と同時です。

ちなみに細かいことですが、当時はまだ国立大学だったので、「指導教官」に「退官」という言い方をします。今の国立大学法人では公務員ではなくなりましたので呼び方が変わって、私立大学と同じで「指導教員」に「退職」です。

前の年のゴールデンウイーク前くらいでしょうか。大学院生室にいた私のところに指導教官がやってきて、「いろいろと忙しくしているかもしれませんが、これから半年くらいの間、集中して書けますか」と言ったのでした。「学位論文を書きなさい」ということです。

というわけで、私の博士号は退官記念のお祝いでいただいたようなものですね。

カッコ付き

明治時代の日本の博士号は、法学博士、医学博士、工学博士、文学博士、理学博士の5つしかありませんでした。なかなかもらえるものでもなく、「末は博士か大臣か」と呼ばれたものです。

その後、「〇〇学博士」は種類が増えて、20種類近くまでになっていきます。

1991年に制度が変わって、「文学博士」だったのが「博士(文学)」になります。「カッコつきの博士」です。たぶん、世代的にもうすぐ、現役の大学教員は博士学位を持っていればみなカッコ付きの博士になるのではないでしょうか。

年配の大学の先生なんかはカッコ付きの博士か「〇〇学博士」かを気にされる方もいらっしゃいます。それはそうで、希少性が全く違いますから。「〇〇学博士」の時代に博士号を取るのは本当に大変だったのです。

さらに、「博士(何々)」という名称はどんどん増えていきます。今では100種類以上もあるとか。そういえば、私が持っているのも「博士(教育心理学)」という、とても希少性のある学位の名称です。今では私の出身大学院では違う名称で学位を出していますので、ある一時期に学位を取得した人たちだけが持っているのではないでしょうか。

学位を取ってから

学位をもらったころでしょうか。お世話になっていた他大学のとある先生に、次のように言われたことをよく覚えています。

「学位を取ってから何をするかで研究者の価値が決まる」

この言葉はなぜかよく覚えていて、自分を戒めるフレーズになっていますね。その先生からすれば、あなたが取ったのはカッコ付きの博士にすぎないと言う意味もあったでしょうし、学位に慢心せずしっかり研究しなさいという叱咤激励でもあったのでしょう。

その言葉を聞いてから20年以上経ちました。果たしてその言葉に応えることができているでしょうか。

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