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中東地域でよく研究される社会心理学のトピックは?

論文を英語で書くかそれとも日本語で書くか,という問題は心理学の領域でも近年ますます問題になってきています。だいたいこういった問題への態度は,研究者の世代が変わるにつれて次第に変化していくものです。

私が大学院生の頃,少なくとも私の周りでは論文を日本語で書くのが当たり前で,英語で論文を書く院生の姿をあまり見ることはありませんでした(指導教官は英語でも書いていたのですが)。

この問題は「研究分野」と「時代」の両方を考える必要があります。心理学の中だけを見渡したときにも,以前も今も「英語で論文を書くのが当たり前」という研究分野もあれば,以前から今までずっと「日本語で論文を書くのが当たり前」という分野もあります。

国内の研究を海外に知らせる

当然ながら,日本語で書いた論文を海外の研究者が読むことは極めて困難です。

それなりに対応をすることはあります。心理学の場合,英文のアブストラクトと図(Figure)や表(Table)を見るだけで,ある程度はどういった結果が得られたのかを推測することができます。ですので,本文は日本語で書いてあっても,アブストラクト(要約)と図や表を英語で記述しておくことで,ある程度は理解してもらえる可能性があるということです。

実際,知り合いの海外の研究者に自分の日本語の論文について説明した時にも,アブストラクトと図表が英語で書かれていたので,だいたい理解できるという反応が返ってきたこともあります。ある程度はそういった対応も役には立つようです。

(まあ,英語で書けば良いじゃないか,という意見もあるでしょうけれども……あえてその研究を国内の研究者や学生など多くの人に読んでもらいたいという意図がある場合もあるのです)

イスラム圏の研究

そんな言語の問題は,日本だけにあるわけではありません。たとえば私自身,イスラム語で書かれた論文を手渡されたら……いや,きっと困りますよね。何が書いてあるのかがまったくわかりません。

そこで,こんな論文はどうでしょうか。この論文では,アラブ地域の研究者がアラビア語を使って書いた社会心理学の論文をレビューしたものです。なかなか接する機会も少ないですので(やりとりをした中東の研究者はいますけれども),興味があります(The Status of Arabic Social Psychology: A Review of 21st-Century Research Articles)。

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