人工衛星画像からわかる環境の特徴的と性格の関連

パーソナリティ特性は,国や地域,都市,身近な地域などでも「バラツキ」が観察されます。これは考えてみれば不思議な現象で,ばらばらに人々が集まっているにもかかわらず,またそれぞれの人はそれぞれの生活があって,各自が別々に質問項目に回答しているにもかかわらず,地域によって集団の平均値に違いが生じてくる,という現象が観察されます。

3つの影響

こうした地域差が生じる要因としては,3つのことが考えられています。

◎選択的移住:個人は自分のニーズを満たす地域に選択的に移住する可能性が高い
◎社会的影響:地域の社会的な影響によって,そこに住む人々は特定の心理特性,価値観,行動を採用する容易なる
◎環境的影響:行動の機会と障壁を作り出し,時間の経過とともにパーソナリティ形成に影響する

環境の影響

この中でも面白いな,と思う影響のひとつが,環境がパーソナリティに及ぼす影響です。近年では,パーソナリティ特性に関連する気候や地形など,地域の特徴が明らかにされています。ちなみに日本でも,日照時間との関連を検討したこのような論文があります。

海外でも気候の特徴は検討されていて,たとえば平均気温が摂氏22度に近い地域で育つと,環境を探索する機会が多く,社交的な傾向が見られると言う指摘もなされています。そしてこのような温暖で穏やかな気候で育つと,パーソナリティ全体が開放性,勤勉性,協調性,外向性,情緒安定性も高くなるという結果も報告されています。

また,山地のような過酷な条件になると,開放性のレベルが高くて協調性のレベルが低くなるという研究もあります。

もっと細かい,さまざまな地域の特徴もパーソナリティ特性に関連するのでしょうか。詳しく研究した論文がありますので,こちらを見てみましょう(The lay of the land: Associations between environmental features and personality)。

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