見出し画像

ギフテッドな子どもたちは自己効力感が高いのか

割引あり

日本語で「ギフテッド」という言葉があります。英語だと,” intellectual giftedness”と,知的に優れたとか,知的な才能があるといった表現になるようです。


もともと「ギフテッド」は,「高い知能指数」を取るような子どもたちのことを指していました。これは狭い意味での「ギフテッド」です。現在では,知能検査で測定することができる認知能力だけを指す言葉ではなくなっており,内容は多様化しつつあるようです。この背景には,「才能とは何か」「望ましい能力とは何か」という考え方の変遷がありそうです。

やればできる

ギフテッドな子どもたちは,ある分野で突出した能力を発揮します。そのような特定分野の能力は,その分野で「やればできる」という感覚を養うと言えるのではないでしょうか。この感覚こそ,特定の文脈のなかで一連の行動を達成することができることや,達成することができるという個人の信念である「自己効力感(self-efficacy)」と呼ばれるものです。

心理学者バンデューラは,自己効力感の源について,次の4つを挙げています。

◎特定の課題における過去の実績や経験
◎他の人を観察することによる代理経験
◎特定の課題を達成することができるという養育者や教師による言語的な説得
◎心理的手がかり

才能ある生徒と自己効力感

才能にあふれるような子どもたちは,自己効力感が本当に高いのでしょうか。何となく高そうな気はするのですが,どれくらい高いのでしょうか。研究そのものは,以前から行われているようです。しかし,メタ分析で統合してみる試みも重要です。

では,実際にメタ分析を行って,ギフテッドの子どもたちとそうではない子どもたちとのあいだで自己効力感がどれくらい違うのかを検討した研究を見ていきましょう。こちらの論文です(Self-efficacy in gifted and non-gifted students: A multilevel meta-analysis)。

ここから先は

1,412字

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?