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睡眠時間を先に延ばしてしまう

先延ばしというのは,それがよくない結果をもたらすということが十分にわかっているにもかかわらず,行動を自分から先に延ばしてしまうことを指します。

毎日しなければいけない,しようと思っている,したほうがいいな,と思うことで,ついつい先に延ばしてしまうことのひとつは,健康に関連する行動ではないでしょうか。運動したほうがいいということは十分にわかっているのに,「まあ明日からにしておくか」と思ったり,こんなに食べ過ぎるのはよくないとは思っているのに「明日我慢すればいいか」と考えてしまったり,早く寝たほうがいいのは重々承知しているのに「少しくらいいいか」と考えてしまったり。本当に,日々の生活の中で,何度も決断を先の延ばしているものだな,と感じさせられます。


就寝の先延ばし

今回紹介する論文では,就寝時間の先延ばしを扱っています。

睡眠不足はさまざまな面で弊害を生み出します。肥満,高血圧,心臓血管系疾患……それに仕事や勉強の効率を落とします。本当に,早く寝るというのは大切な行為であることはわかっているのですが,ついつい就寝時間は延びてしまう傾向があります。

食事と違って,睡眠は「するかしないか」という問題ではなく,「早いか遅いか」という問題です。ダイエットをするときには,食事を制限したり抜いたり,という形で「するかしないか」という問題になります。その一方で,睡眠はまず寝ることをやめるのはできませんので,「早いか遅いか」という問題になるというわけです。

そういう意味で,睡眠は「先延ばし」の問題を考える上で適切な課題のひとつだと言えるわけです。なるほど……。

新しい先延ばし

というわけで,就寝時間の先延ばし(bedtime procrastination)という問題に取り組んだのが今回紹介する研究だというわけです。これは,新しい領域の先延ばし現象だと論文の著者たちは主張しています。この論文です(Bedtime procrastination: introducing a new area of procrastination)。

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