賢い人は早起きだったりするのか

クロノタイプ(chronotype)というのは,朝型か夜型かという生物学上のパターンのことです。生物によって,夜活動するものもいれば昼間活動するものもいます。これと同じように,人間でもどれくらい朝早くに起きるのか,どれくらい夜更かしするのかというパターンのことをクロノタイプと呼んで研究が行われています。

知能指数によって違うのか

「頭のいい人は夜更かしする」とか「賢い人は早寝早起きする」とか,こういったことも世の中ではさまざまに言われているのではないでしょうか。

これまでの研究でも,知能指数と睡眠や覚醒のパターンとの関連については研究が行われています。たとえばある研究では,18歳から28歳を対象に,幼少期のIQと自己申告した就寝時刻や起床時刻との関連が検討されています。その結果によると,知能指数が高い人はやや夜型になりやすいそうです。

過去に行われたメタ分析でも,IQの高さはやや夜型という傾向が認められたそうです。その一方で,より近年の研究では朝型とIQの高さが関連するという報告もあるそうで,結果が一貫していません。とはいえ,そもそも「関連の大きさ」は相関係数で0.05やそれ以下のこともあって,非常に小さいのですけどね。

知能指数(IQ)は学業成績とプラスの関連を示すことがこれまでに何度も報告されていますが,学業成績は朝型のクロノタイプに関連することも報告されています。

うーん,いったい知能指数は朝型・夜型,どちらの生活パターンに関連するのでしょうか。

平日と週末

考えてみれば,起きる時間というのは仕事がある日と休みの日とでずいぶん違うと言えるかもしれません。知能指数が高い人が学業成績も良く,学歴も高い(より高い学校水準まで進学している)とするならば,社会に出た後での仕事の仕方も変わってくる可能性があります。朝型・夜型が知能に関連する生物学的な要因だけで決定される,というのはちょっと単純なのではないでしょうか。

そこで,社会的な要因を加味したうえで,知能指数とクロノタイプとの関連を研究した,こちらの論文を見てみましょう(The relationship between chronotype and intelligence: the importance of work timing)。

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