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性格のライトな3側面

割引あり

心理学の研究をしていると,「ある側面の反対側」への探求が始まるパターンがよく見られます。ダーク・トライアドという「闇の三側面」についての研究が進めば,その逆の「光の三側面」の研究がはじまったりもするわけで……


ライト・トライアド

パーソナリティ(性格)の光の三要素として,ライト・トライアドを提唱する研究者たちがいます。これには,3つの要素が含まれています。

◎人間性への信頼:人間の本性に対する楽観的な見方,他者を信頼すること,人類に普遍的な善に対する信念
◎ヒューマニズム:人間の本質的価値と尊厳を信じること,優しさや共感,他者を助けること
◎カント主義:真正さや道徳的原則に対する傾倒

ダーク・トライアドの場合にはマキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムの3つのパーソナリティ特性が互いにプラスの関係性を持っており,そのことから背後に共通点があるのではないかという話が進んできました。ライト・トライアドも同じです。共感性があり,思いやりがあり,他者を助ける傾向というのは,互いにプラスの関係性があるのです。

ライトとダーク

これらのライト・トライアドは,ダーク・トライアドとはマイナスの関係性にあることもこれまでに報告されています。というより,そうじゃないと理論的におかしいですよね。

とはいえ,ではライト・トライアドが常に望ましいのかというと,そういうわけではありません。ポジティブな特性の過剰な使用は,人間形成上望ましくないのではないか,という指摘もあるようです。

文化差

ライト・トライアドは,主に英語圏の研究グループで提唱された概念なのですが,こういった要素は文化的背景や歴史的背景などが大きく関係している可能性があります。そこで今回は,少し文化的に異なるポーランドで行われた研究を見ていきましょう。

こちらの論文です(Screening for Light Personalities in Portugal: A Cross-Cultural Validation of the Light Triad Scale With an At-risk-of-delinquency Sample)。

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