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物質依存の治療で感情状態はどれくらい改善するか

割引あり

情動的な苦痛というのは,いろいろな概念として設定されているようです。

一般的には,特性というよりは一時的にネガティブな状態であることを指しており,個人内で時間と共に変化する可能性があり,不安や抑うつの特定の経験を含むものとして特徴づけられる傾向があります。

また,高いレベルのネガティブな感情や,ポジティブな感情の低さを含む,苦痛を伴う感情的経験として,より広く概念化されることもあるようです。


内容

情動的な苦痛には,ポジティブな感情とネガティブな感情から全体的に把握しようと試みるものと,抑うつや不安など特定のネガティブな感情を測定するものとに分かれます。しかし,これらは明確に分けることは困難です。

ネガティブな感情状態の強さと,ポジティブな感情状態の弱さをまとめて,情動的な苦痛を抱いている状態だと考えることが可能です。

物質使用障害

物質使用障害は,ある物質を使うことに問題があることは十分に認識しているにもかかわらず,その物質を使い続けてしまう病的なパターンのことを指します。自己コントロールの喪失,社会的な問題,物質の危険かつ過剰な使用パターンといった表現で現れてきます。

物質使用障害では,情動のコントロールはひとつのカギになるそうです。悲しみや不安など否定的情動を軽減し,幸福感や興奮をもたらす肯定的情動を高めることが,物質使用障害の軽減にアプローチをするひとつの有効な方法になりえるようです。

レビュー

物質使用障害と情動的苦痛の関連を検討することは重要なことだと考えられる一方で,特にポジティブ感情の役割については,十分にわかっていない部分があるそうです。そこで,情動的苦痛と物質使用障害について,メタ分析で検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(A Meta-Analysis of the Effect of Substance Use Interventions on Emotion Outcomes)。

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