2019年なのか2020年なのか……それが問題だった
今回は,とある先生からお問い合わせをいただいて確認したという経緯について,メモと注意喚起を兼ねて書いておこうと思います。
*なお,現在は修正されています。
何かと言いますと,以前にもこの記事で紹介した論文についてです。
J-STAGE
日本心理学会が発行する心理学研究という雑誌は,J-STAGEで全文を読むことができます。先ほどの論文は,こちらのページに掲載されています。
第6号
心理学研究は1年間に6号,刊行されます。2ヶ月に1冊の雑誌が発行されるというわけです。そして,第6号はだいたい,年をまたいで発行されることが多いようです。私の論文も,第90巻第6号に掲載されています。
論文の受理
さて,論文には原稿を受け付けた日付や論文の掲載が決定された日付が書かれています。私の論文にも書かれていまして,受稿つまり原稿を送った日が2019年5月10日,審査があってそのあとに採択が決定された日付が2019年7月6日となっています。
2ヶ月も経っていないわけですが……いや,普通はこんなに早くはありません。1年以上かかって受理される論文もたくさんありますし,そもそも受理にまで至らない(不採択の)論文もたくさんあります。
とにかく,この論文については予想以上に早く採択されたのですが,掲載予定は90巻6号と決まりますので,「そうか。掲載されるのは2020年だよな」と思っていたわけです。
J-STAGEでの表記
ところが,J-STAGEに論文が出てきたときに,「2019年」の年数が書かれていたのでした。
ちょっと見にくいかもしれませんので,拡大してみます。
「2019年90巻6号」と書かれていますよね。「2020年だと思っていたのに,発行は2019年なのか……」と思っていたというわけです。
そして,自分のHPや研究費の報告書などにも「まあしょうがない。2019年と書かれているので2019年で報告しておこう」と記載したのでした。
論文を引用
さらに,この続きの論文を執筆しました。
当然のことですが,前の研究の続きですので前の研究を論文の中で引用したわけです。こんなふうに「2019年」として。
pdfを見ると
先日,とある先生がメールで問い合わせをしてきました。「先生の論文は,2019年なのですか?それとも2020年なのですか?J-STAGEには2019年と書いてあるのですが,pdfには2020年と書かれているので……どっちでしょうか?」といった内容です。
確かに……pdfには2020年と書かれています。
同じ論文なのに,J-STAGEの見出しには「2019年」と書かれていて,pdfには「2020年」と書かれていたのでした。なんとなく気づいてはいたのですが,自分ではてっきり「なんだかおかしいけれど2019年みたい」と思い込んでいたのでした。
実は,第90巻6号と,第91巻6号では,私の論文以外にも同じようなケースが多々発生していることもわかりました。きっと,執筆者の先生方は戸惑われているのではないでしょうか。
問い合わせてみると……
というわけで,日本心理学会に問い合わせのメールを送ってみました。すると……
◎J-STAGEの表記が誤りで,pdfの表記が正しい
という回答をいただきました。論文を引用してしまっているので,引用した論文の方も訂正していただけるようです。
論文を引用する際には,お気をつけください……。私の論文は「2020年」が正解です。
近いうちにJ-STAGEの情報は修正されるとのことでした。その後,現在は2020年に修正されています。
小塩真司・市村美帆・汀 逸鶴・三枝高大 (2020). 日本における情緒不安定性の増加―YG性格検査の時間横断的メタ分析― 心理学研究, 90, 572-580.
(Oshio, A., Ichimura, M., Migiwa, I., & Mieda, T. (2020). Epidemic of emotional instability in Japan: A cross-temporal meta-analysis of Yatabe-Guilford Personality Inventory, 1957 to 2012. The Japanese Journal of Psychology, 90, 572-580.)
https://doi.org/10.4992/jjpsy.90.19003
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