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思春期のIQと50年後の人生

人生の早い時期に何らかの特徴をもつことが,のちの人生に影響を及ぼしていく,という研究があれこれと報告されています。

と書くと,「人生は決まってしまうのか」と思ってしまうかもしれません。少しニュアンスが違うのですよね。あくまでも「関連」であって,しかもその関連というのはそれほど大きなものではありません。人生の確率が少し左右されるもの,と言った方が良いでしょうか。

さまざまな影響

おそらく心理学の歴史のなかで,人生の多くの場面に一番影響することが示されてきたのは知能指数(IQ)ではないでしょうか。たとえば,次のようなきわめて長期の研究があります。ある研究では,子どもの頃や青年期のIQの高さは老年期の認知機能に関連することが示されていて,別の研究では子どもの頃のIQの高さは老年期の認知症の発症リスクを抑制することも示されています。

子どもの頃のIQの高さは,その後の学業成績,学歴,収入,職業などに影響するだけでなく,心身の健康や認知機能にまで影響するというのです。

でも先ほど書いたように,あくまでもそれは「関連」ですので,ある個人が本当にそうなるかどうかはわかりません。

性格も加味して

今回紹介する研究は,高校生くらいのときに受けた知能検査の結果が,70代の認知機能に関連するかを検討したものです。そして,ビッグ・ファイブ・パーソナリティも測定されており,知能からビッグ・ファイブ・パーソナリティを介して,認知機能に影響するかについても検討されています。果たしてどういう結果になったのでしょうか。

では,こちらの論文を見てみましょう(IQ in adolescence and cognition over 50 years later: The mediating role of adult personality)。

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