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社会的不安から抑うつにつながる

割引あり

社会不安障害(Social Anxiety Disorder, SAD)とは,他者から評価されることを過度に恐れる状態をさし,社会的な場面や対人関係場面で強い不安や恐怖を覚える精神疾患の一種です。この障害は,大きな苦痛をもたらし,個人の社会的関係やさまざまな機能に悪影響を及ぼします。

社会不安障害の障害有病率は,すべての年齢層で5%から36%とも推定されています。他の精神疾患とも併発することが多く,約3分の2は他の疾患をもつとされます。


抑うつ

不安と抑うつというのは,いずれも代表的な精神的な問題です。しかし,両者は対象となる焦点が当たる部分が異なります。不安は主に将来起きる可能性のある出来事に焦点が当たります。抑うつは,現在または過去の出来事に焦点が当たります。また,不安は緊張や回避行動を伴うことが多く,抑うつは持続的な悲しみや落ち込み,活動の現象を伴います。

しかし両者は互いに関連しています。

不安と抑うつ

社会不安障害とうつ病との間には,強い関連が見られます。これまでにも,社会不安からうつ病へのプロセスを検討する研究がいくつかあるようです。

◎孤独感とネガティブ感情
◎注意制御とネガティブな反すう
◎コントロール不全,危険に対する信念,無気力
◎行動の回避

これらが,社会不安傾向から抑うつ傾向に至るプロセスのなかで,間をつなぐような働きをするという研究が行われているようです。


感情調節

半年間3回の調査によって,社会不安から抑うつ傾向へのつながりに関して,表出抑制(ES)や認知的再評価(CR)などの感情調節戦略が媒介する効果を検討する研究が行われています。

◎表出抑制(ES):感情表現を抑制する
◎認知的再評価(CR):状況の意味を捉え直す

こちらの論文を見てみましょう(Expressive suppression and cognitive reappraisal pathways from social anxiety to depression: A six-month longitudinal study)。

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