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動物への思いやりに関連する性格

人間と動物との関係は,なかなか複雑なものです。私たちは毎日,肉や卵を食べ,動物たちの命をいただいています。また世界中の研究室で多くの動物が飼育されており,新しい薬剤の開発のため,病理の解明のため,また行動プロセスの解明のために,動物たちの命を利用しています。

その一方で,絶滅しそうな自然動物を保護し,身近なペットを大切にし,病気になったり命を落としたりしたときには自分のことのように悲しみ,お金を費やすのです。

私たちが動物のことをどのように考えるか,立場によっても,どこに焦点を当てるかによっても,ずいぶん変わってくることが想像できるのではないでしょうか。

動物への思いやり

「動物に対する思いやり」の研究というのがこれまでにも行われてきています。

これまでの研究によると,動物に対する思いやりは,共同性(コミュ二オン;他者への配慮),協調性,平等主義的な傾向に関連することが報告されているそうです。

また,動物に対する思いやりは,種族主義の考え方とも密接に関連するそうです。種族主義というのは,人間が他の動物に対して特別な唯一の存在であり,進化的にももっとも進んだ生物であると「信じる」傾向のことです。これまでの研究では,この種族主義が,社会的支配指向性,人種差別,性差別,同性愛嫌悪など,さまざまな反社会的な態度や権威主義的な態度に関連することも明らかにされているとのことです。

性格との関連

では,動物への思いやりは,パーソナリティ特性とどのような関連を示すのでしょうか。過去の研究では,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのなかでも協調性に関連するという研究結果が報告されています。もっと細かく,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのファセットのレベルまで検討したらどうなるでしょう。

では,このような検討を行っている,こちらの論文を見てみましょう(Personality and Compassion for Animals)。

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