子どもの気質が遺伝する程度
性格は環境で決まるのですか?遺伝で決まるのですか?という疑問はよくあるものです。
なかなか難しい問題なのです。というのはまず「決まる」とは何かとか,「環境」とは何を想定しているかとか,「遺伝」ってどういうことを考えていますか?とか,さらに遺伝率の推定ってどうやるのかとか,どういうテクニックで推定するのか,とかそれを個人に当てはめることは妥当なのか……このあたりのことを理解した上で,じゃあこのくらいですけどどうですか?と回答しないと,誤解が誤解を生むばかりだと思うのです。
本で学ぶ
遺伝率がどうやって推定されているのか,それは本で学ぶのが一番だと思います。やはり安藤先生の本を読んでみるのが良いと思います。何冊か読んでみれば,より良く理解できるのではないでしょうか。
気質の遺伝率を検討した論文
さてそのうえでこういう論文がありますよ,ということを紹介してみようと思います。子どもたちの気質の遺伝率を推定した研究です。
平均7歳の子どもの双子たち787ペア(そのうち一卵性双生児が291ペア,同じ性別の二卵性双生児が237ペア,異なる性別の二卵性双生児が239ペアであとは不明)を対象にしています。
両親が気質の質問紙に回答
この研究では,両親が子どもの気質の質問紙に回答しています。使っているのは,ロスバートという研究者が開発したChildren’s Behavior Questionnaireです。この研究で使われたCBQは,次の下位次元で気質を測定しています。
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