成績の男女差に関係してくる性格要因
アメリカの大学では,次のような現象が見られるそうです。
◎大学入学共通テスト(SATやACT)では,女性よりも男性の方が平均得点が高い傾向が見られる。
◎一方で,大学入学後のGPAについては,男性よりも女性の方が平均得点が高い傾向が見られる。
日本の大学ではどうでしょうか。
入試と入学後
アメリカの大学入試ではSATなどの学力試験が用いられています。その理由のひとつは,SATなどの試験が大学入学後のGPAを予測することにあります。実際,SATの得点と大学入学後のGPAとの関連は,相関係数で0.44から0.62の範囲になると報告されています。
入学試験の成績は入学後のGPAと関連するものの,SATでは男性の得点が高く,GPAでは女性の方が平均値が高いという,入れ替わり現象については十分に検討されていません。
パーソナリティ
そこで,パーソナリティ特性に注目してみてはどうでしょうか。
知的な能力に加えて,特定のパーソナリティ特性が学業成績の重要な予測因であることが報告されています。特に,意志の強さや自発性,責任感,達成への努力,自己コントロールなどに関連する誠実性(勤勉性)の側面が,学業成績に関連することが知られています。
加えて男女の平均値を検討すると,男性よりも女性の方が誠実性の平均値は高いという報告もよく見られます。このようなパーソナリティ特性が,大学入学後のGPAの予測因となっているのかもしれません。
このあたりの関連について検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Gender differences in self-efficacy partially explain the female underprediction effect)。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?