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恋愛相手のアンビバレントな評価がもたらすこと

割引あり

「蛙化現象」なんていう言葉が流行っています。

そもそも,恋愛相手や結婚相手に対して,非常に肯定的な感情と非常に否定的な感情の両方を抱くというのは,誰にでも起こり得ることであり,珍しいわけでもありません。相手に対する感情は一面的なものではなく,両価的でアンビバレントなものなのです。


アンビバレンス

両価的でアンビバレントな判断は,一面的な評価以上に個人のアウトカムや関係性のアウトカムに対して独自の影響力を持つようです。これまでの研究によると,アンビバレントな評価は意図的な行動や態度などにも関連しますし,自動的な反応のような暗黙のうちに生じるアウトカムにも関連するとされています。

しかし,アンビバレントな評価の影響については,まだわかっていないことがたくさんありそうです。

タイプ

一口にアンビバレントな評価といっても,いくつかのタイプがありそうです。

◎客観的両価性:人々が明らかに肯定的評価と否定的評価を同時に抱いている状態のこと
◎主観的両価性:葛藤の経験を反映するものであり,対照に対してどれくらい複雑な葛藤を抱いているかを評価すること
◎暗黙ー明示的両価性:人々の自己報告と暗黙の評価との不一致が生じている状態のこと
◎暗黙的両価性:強い肯定的評価と強い否定的評価を自動的に行っている状態のこと

客観的両価性と主観的両価性は,ストレスや血圧,炎症反応の上昇などにつながることがこれまでの研究で示されているそうです。また,これらの両価的な評価は,関係上の親密さの低下や関係性の破綻などにもつながることが報告されています。恋愛関係では相手を良く評価しようとする動機づけが生じると考えられますので,そこで両価的な評価をしてしまうことはあまりよくない方向に進む可能性が示唆されます。

暗黙ー明示的両価性は,不快感,苦痛,不安の上昇や,幸福度の低下に関連することが報告されています。そして暗黙的両価性は,人間関係のあり方に影響することは示唆されていますが,あまり明確な結果が報告されているわけではなさそうです。

幸福

4つの両価性というアンビバレントな評価を行う状態は,幸福にどのような影響をもたらすのでしょうか。4つの研究から検討した論文があります。こちらの論文を見てみましょう(A Systematic Study of Ambivalence and Well-Being in Romantic Relationships)。

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