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職業タイプに対応する性格

RIASECという職業興味の枠組みをご存じでしょうか。海外でもよく知られた枠組みで,「もの」—「人」,「データ」—「アイデア」という2つの軸の平面上に,中心軸から6方向を描き,6つの職業興味を配置したというモデルです。

いわゆる「円環構造モデル」の一種だと思うのですよね。円環構造は対人関係やパーソナリティ,価値などの構造把握に使われていて,多くの研究があります。

また,たぶん中学校や高校,大学などいくつかの場面でこのRIASECに対応する職業興味や「職業適性検査」といったものを受ける人も多いのではないでしょうか。


6つの職業

6つの職業興味というのは,次の通りです。

◎R: Realistic (現実的):人よりも「もの」に興味が向かうので,工学関係や手工業,建築関係などに向いている
◎I: Investigative(研究的):アイデアとものへの興味の両方を備えている方向です。研究者や情報処理業務などが向いている
◎A: Artistic(芸術的):アイデアと人の中間の興味。芸術家や作家,イラストレーターなどが向いている
◎S: Social(社会的):興味が人の方向を向いている。社会奉仕や医療関係,教員やカウンセラーなど人に対する職業が向いている
◎E: Enterprising(企業的):興味がデータと人の方を向いている。企業活動や公務員,管理業務などに向いている
◎C: Conventional(慣習的):興味がデータとものの方を向いている。経理や警備,編集業務などに向いている。

必ず「この職業だけに向いている」という判定が出るわけではなく,おおよその方向性で考えれば良いということなのでしょうか。


RIASECと性格

こういう枠組みがあると,「それぞれ対応する性格があるのでは」と素朴に思うのではないでしょうか。もちろん,そういう研究はあります。2003年の研究で,メタ分析で検討しているものがあります。ではこの論文(Meta-Analysis of the Relationship Between the Five-Factor Model of Personality and Holland's Occupational Types)を見てみましょう。

この論文では,ここまでに見たRIASECのモデルとビッグ・ファイブ・パーソナリティとの対応がどうなるかを検討しています。

過去の研究を集めているのですが,だいたいビッグ・ファイブの各特性について40個前後の相関係数を集めているようです。

結果は?

では結果はどうなったのでしょうか。ビッグ・ファイブの各特性ごとに示してみます。

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