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大きな生活の変化は孤独に影響する

孤独感には,3つの重要な特徴があるそうです。

1.主観的であること
2.社会的関係の欠如を認識した結果であること
3.不快で苦痛を伴うこと

単に社会的に孤立していることでもありませんし,ひとりでいることが平気なら孤独感とは言わないのです。


加齢

50歳を過ぎると,年齢とともに孤独感は増加する傾向があるそうです。自分もこの年齢に当てはまるのですが,どうでしょうか……もちろん,家族や仕事があるからいいのですが,もしもリタイアしたり家族ともはなれることが起きたりしたら……強く感じてしまいそうです。

世界的に人口は高齢化しており,世界全体で50歳以上の孤独感を抱く成人の数は,2020年から2050年にかけて3倍になると予想されているとか。世界中で,後期高齢者の孤独を社会的な問題としています。

中高年の場合

中高年の孤独感についてのおおきな疑問は,人々がそれ以前の年齢から孤独のままこの年齢へと突入していくのか,それともこの期間内に特有の問題として孤独感を生じる傾向にあるのかです。

この問題について検討するためには,中高年期において縦断的なデータから,孤独感について検討する必要があります。孤独感の前兆のような状態はあるのでしょうか。それとも,孤独感を「発症」してしまうのでしょうか。

ライフイベント

健康状態は孤独感と密接に関係することが,これまでの研究からも明らかです。しかし,孤独な人ほど不健康になりやすいのか,不健康だから孤独感になりやすいのかという因果関係は不明瞭です。

何かしらのライフイベントが発生したからといって,必ずしも孤独感を生じるわけでもありません。配偶者を失う経験は孤独感につながると予想されますが,配偶者が病気をしていて長い間介護を経験すれば,その段階から孤独感を抱き,配偶者の死によっても孤独感のレベルは変わらないか,むしろ長期的な孤独感から回復する様子が観察されるかもしれません。

これまでの研究では,配偶者の死は孤独感の増加を予測し,離婚のような婚姻状態の変化は孤独感を助長します。身体的な問題の増加や健康状態の悪化は,孤独感の増加をもたらすという報告もあります。

国家間比較

ライフイベントと孤独感との関連は,国によってばらつきがあるという考え方もできます。孤独感のレベルもライフイベントの内容や頻度も,国によってバラツキがあります。また宗教や福祉状況は,ライフイベントと孤独感との関係を変えてくる要因となりそうです。

そこで,20ヵ国からなるデータを用いて,ライフイベントと孤独感との間の関係を検討した研究を見ていきましょう。どのような結果が得られているのでしょうか。こちらの論文です(Life Events and Loneliness Transitions Among Middle-Aged and Older Adults Around the World)。

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