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思春期早発症の子どもたちの自意識

割引あり

思春期早発症(Precocious puberty)という症状があるそうです。これは,通常の時期寄りの早くに思春期がはじまってしまう病気だとされています。


思春期早発症

日本内分泌学会の記事を見てみましょう。思春期早発症というのは,多くの場合,2〜3年以上早く,思春期が開始されてしまう症状となるようです。早くに身長が伸びるのであれば,その後も伸びていくのかと思いきや,意外と大人になったときには低身長になるケースもあるとか。また,心理社会的な周囲との関係が問題にもなりそうです。

通常の時期よりも早くに(通常2~3年以上早くに)思春期がはじまってしまう病気です。ほとんどは、年齢が幼いにも関わらず、正常の思春期と同じ変化がおこってしまうタイプです(特発性ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)依存性思春期早発症とよびます)。思春期早発症では以下の3つの問題が生じることがあります。(1)早期に大人の体になってしまうために、一時的には身長が伸びたとしてもそれ以上に成長することができず、大人になった時には低身長となってしまいます。(2)相対的に若い年齢で思春期の体の変化がおきるため、本人の戸惑い、周囲からの嫌がらせなどの心理社会的問題が起きることがあります。(3)稀にですが、思春期早発症を来す原因(器質的疾患と呼びます)があると、思春期早発症以外の問題を起こすこともあります。

自己意識

周囲とは異なる自分自身の変化は,自意識の高まりとなって経験されそうです。特に思春期,青年期は自分自身に注意が向きやすく,周囲との比較が盛んに行われる時期です。だから,いろいろな人間関係の軋轢も生じるのでしょうけれども……。

自分自身に意識が向くことを,自意識や自己意識と言います。そこで把握された内容を自己概念,その自己概念をどのように評価するかという側面のうち,ポジティブさやネガティブさの程度のことを自尊感情と呼んだりします。自分に意識が向かうと,ネガティブな自己の側面に注意が向かいやすく,自尊感情は低下しやすくなるとも言われます。すると,抑うつや不安など,ネガティブな感情も伴いやすくなります。

思春期早発症の場合

では,思春期早発症の子どもたちは,特別な自意識や抑うつの程度を抱いたりするのでしょうか。実際にこの症状を発症している子どもたちを対象とした研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Self-consciousness and depression in precocious pubertal children)。

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