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情動知能(EQ)が高いと学業成績もよくなるのか

どのような要素が学業成績を高めるのか,ということについては,世界中でとても多くの研究が行われています。

一口に学業成績といっても,GPA(Grade Point Average)をはじめ,達成度テスト,成績の平均値,標準学力テストの成績,教師による学力の評価など,さまざまな指標が用いられています。学業成績に影響する要因としては,知能(知能指数;IQ)や認知能力を挙げることができます。

また近年では,認知的な能力以外の心理学的な個人差要因も取り上げられることが増えてきました。

情動知能

今回紹介する研究は,情動知能(EI; Emotional Intelligence)についてです。EQ(Emotional Quotient)とも呼ばれます(ただし知能指数のIntelligent Quotient に合わせる形で”Q”を使っているのですが,数値の算出方法の意味もあるので,EQだと意味がよくわからなくなってしまうのですが……)。

情動知能にはいくつかの研究の流れがあるようです。ひとつは,SaloveyとMayerによる4つのスキルから構成される情動知能です。それは,「情動を正確に知覚する能力」「思考を促進するために情動にアクセスして利用する能力」「情動を理解して認識する能力」「情動を調節したり促進したりする能力」です。

他にも,3つのスキルから情動知能を捉えようとする枠組みや,非認知能力の他の側面と混合した全体から捉えようとする試みもあるようです。

いずれにしても,そもそも情動知能は学業成績に関連するものなのでしょうか。そこで,メタ分析を行ったこの研究をみて,結果を確認してみましょう。なおこの論文では,中等学校(中学校や高等学校)での学業成績に注目しています。

こちらの論文です(A Meta-Analysis of the Relationship Between Emotional Intelligence and Academic Performance in Secondary Education: A Multi-Stream Comparison)。

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