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基本的な欲求と性格との関連

割引あり

動機づけについての幅広い理論である自己決定理論では,3つの基本的な欲求が想定されています。

◎自律性の欲求:ほかの人にコントロールされることなく,自分の内面から生じる行動
◎有能性の欲求:自分の能力を発揮し,拡大し,表現する経験を通じて,自分の行動の効果性を感じること
◎関係性の欲求:他者とのなかでつながりの感覚や集団への帰属感を抱くこと

自己決定理論の中では,これらの基本的な心理的欲求はすべての人間に普遍的であり,心理的な幸福やウェルビーイングにとって不可欠だとされています。


パーソナリティ

人間の基本的なパーソナリティ(性格)特性を5つ設定する,ビッグ・ファイブ・パーソナリティや5因子モデルがあります。

◎神経症傾向:不安,抑うつ,敵意,傷つきやすさ,自意識過剰
◎外向性:社交的,自己主張性,活動性,ポジティブ感情の抱きやすさ
◎開放性:創造性,美的感覚,型にはまらない
◎協調性:愛情深い,控えめ,共感
◎勤勉性:規律を守る,秩序,目標志向

欲求と性格

パーソナリティ特性と基本的な心理的欲求は,どのくらい重なるのでしょうか。

基本的な欲求を,パーソナリティよりも基本的で前にあるものと想定するか,同じレベルのものと想定するかで話は変わってきそうです。基礎的な人間の特徴と状況からパーソナリティが形成されるのであれば,時間的なズレが観察される可能性があります。一方で,基本的な心理的欲求が生得的で変化しないものとして想定されるのであれば,パーソナリティ特性と並行して存在する様子が観察されるかもしれません。

このような問題に答えを与えるのは難しいところなのですが,メタ分析で両者の関係を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(The relationship between three basic psychological needs and big five personality traits: A meta-analysis)。

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