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日々是好日・心理学ノート

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#発達

親から子への影響か子から親への影響か

子育ての研究では,長年にわたって問題になっていることがあります。それは「影響の方向性」です。どちらがどちらの方向に,より影響を与えるのか,です。 これは,心理学全般について言える大きな問題かもしれません。 親から子か子から親か事件や事故の報道の中で,必ず出てくるのが「どんな親に育てられたのか」「どんな家庭で育ったのか」というテーマです。ここには,「親や家庭から子どもに影響する」という信念が隠れています。 しかし,子どもを何人か育ててみるとわかるのですが,親は子どもからも

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人生の何が将来のHSPを予測するか

感覚処理感受性(環境感受性,ハイリー・センシティブ・パーソン)は,HSPとかSPSと呼ばれる心理的な特徴のことを指します。その特徴は…… ◎刺激について深い認知処理を行う傾向 ◎微妙な刺激に対する感受性の高さ ◎刺激に対して強い感情的な反応を示すこと ◎刺激があるとすぐに覚醒する傾向 といったところにあります。全体的に刺激によく反応する傾向のことを指します。 この傾向が強い人のことをHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)といって,この心理的な傾向のことをSPS(感覚

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孫ができると性格は変わるのか

子どもが大きくなって大学生くらいになってくると,「次はお孫さんですね」なんて言われたりするものです。もう「おじいちゃん」「おばあちゃん」になってしまうのか……とちょっと愕然としてしまうわけですが,孫の誕生というのは,人生の中でも大きなライフイベントです。 祖父母の役割現代の社会では,以前と比べて祖父母の役割というのも変化しているのですが,それでも重要なものだと考えられています。 それぞれの発達の時期における重要なライフイベントや問題のことを発達課題と呼ぶことがあります。孫

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ポジティブな経験をすると楽観性の発達は進むのか

未来に起こることについてポジティブな結果を期待する一般的な傾向のことを,楽観性(optimism)と言います。これは,一種の性格(パーソナリティ)のような心理特性として捉えられています。 楽観的な人はそうではない人に比べると,心身の健康度が高く,より長寿となる傾向もあり,ポジティブな社会的関係を築き,物事に対する優れた対処能力をもつとされています。 楽観性の発達変化これまでにいくつかの研究で,楽観性が生涯にわたってどのように変化していくのかが検討されています。なお,ここで

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強みの発達

VIA-ISと呼ばれる心理検査があります。これは”Values in Action Inventory of Strength”の省略で,「強み」と呼ばれる24の心理特性を測定するものです。この24の特性は,個人内で安定しており,トレーニングによって変化の可能性があり,個人にとっても社会にとっても利益のある,ポジティブで道徳的にも価値のある心理特性だとされています。 いわば,「よりよい人」であるための心理特性といった感じでしょうか。以前にもこの強みについては記事を書いたこと

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幼稚園から小学校へと継続する人間関係

幼稚園や小学校の最初の頃の人間関係がどうだったか,覚えているでしょうか。小学校高学年くらいになると,他の子どもたちが何を考えているのかを互いに推測し合って,より高度で複雑な人間関係を営むようになるのですが,小さい子どもたちはそうではありません。幼稚園の途中くらいで,心の理論も最初の段階が発達したところです。お互いの気持ちを推測することもまだ十分にできていないかもしれません。 いじめにおける役割子どものいじめのエピソードには,いじめっ子,被害者,補佐(いじめの首謀者を支援する

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収入によって性格の変化の様子が違ってくる

お金持ちたちと,そうではない人々とでは,年齢とともに性格は変わってくるのでしょうか。それとも,最初からそういう性格だからお金持ちになったのでしょうか。あるいは,お金持ちになることと特有な性格の変化との間には,何か共通した背景要因があるのでしょうか。 性格が年齢とともに変化していくという,多くの研究知見が世界中で報告されています。そして,研究結果については,細かく見ていくと矛盾する点もあったりするものです。 遺伝と環境パーソナリティ特性そのものが遺伝と環境によって形成される

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ダークな性格は年齢とともにどう変わっていくのか

ダークなパーソナリティといえば,ダーク・トライアドが知られています。これは,ナルシシズム(自己愛。自分が好き),サイコパシー(冷淡で罪悪感を抱かない),マキャベリアニズム(他者を思い通りに利用する)という3つのパーソナリティ特性のまとまりのことを指します。また,これらにサディズム(他の人の苦痛を見て快感情を抱く)を加えて,ダーク・テトラッドと呼ばれることもあります。 D最近,社会的に避けるべきパーソナリティ特性の総合体として,「D」と呼ばれる統一因子が研究されるようになって

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年齢とともに動物に対する見方が変わる

「道徳的アクロバット」という言い方があるそうです。これは,人間が互いに矛盾するような倫理的な価値観を持ち,道徳的・倫理的なダブルスタンダードをもつことを指します。 とはいえ,多くの人はあまりこのことをふだん意識して生活しているわけではありません。ふだんの生活のなかでは,なんとなくそれぞれを「よい」「悪い」,「好ましい」「好ましくない」と判断しています。しかし,少しじっくりと考えてみると,そこに矛盾やおかしなことが起きていることに気づいたりします。 ペットか食物か人間や人間

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世界中の縦断データを集めてみると年齢に伴う性格の変化は

「性格は完成するのか」問題は,いまでもパーソナリティ心理学のなかではホットな話題のひとつです。 パーソナリティのような心理変数の得点が安定するのか変化するのかという問題は,そんなに簡単なものではなく,どこに注目してどう変わるのかを理解する必要があります。以前もこのことについては,記事に書いたことがあります。 安定性を考えるときには,おおきく次の5つの観点があります。 ◎平均値の安定性:時間を経ても平均値が変わらない ◎順位の安定性:時間を経ても人々の間の順位が変わらない

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遺伝率が上昇するのは社会が平等になった結果

こんなことを考えてみてはどうでしょうか。 ◎現在,小学6年生の自尊感情の遺伝率は約50%である ◎来年度から,全国一斉に小学校で「自尊感情向上プログラム」を実施することになった ◎このプログラムが実施されて10年間,十分に全国で子どもたちの自尊感情を高める実践が蓄積されていった。日本中,同じプログラムが浸透し,子どもたちの自尊感情向上が試みられていった。 ◎ふたたび小学6年生における自尊感情の遺伝率を,ふたごの研究で確かめた さて,このような状況の時,子どもたちの自尊感情

5つの安定性について考える

心理学,特に調査的な手法を使って研究を行う心理学では,いくつかの種類の安定性の捉え方があります。ここでの安定性というのは,英語ではstabilityと書くもので,逆の意味は不安定性つまりinstabilityです。 どんな時に使う?たとえばどんな時に安定性ということばを使うかというと,時間を超えて得点が安定しているかどうかを考えるときです。同じ集団をずっと追跡調査していき,ある得点の安定性(不安定性)を検討する,というときに使います。 ひとつの文脈としては,ある心理特性の

親の喫煙と飲酒は子どもの不安につながる

自分が禁煙してから,もう何年経ったでしょうか。あんなにタバコを吸わないといてもたってもいられない毎日だったのに,いつの間にか,すっかり気にならなくなっています。 まさに「依存」ですね。 ただし,タバコがほかのものへの依存に変わっただけではないか,という気がしないでもありませんが……。 タバコと飲酒の影響喫煙に関しては本当に多くの研究が行われていて,メンタルヘルスにもさまざまな悪影響がもたらされるといわれています。たとえば,出生前に親が喫煙していて,タバコにさらされた子ど

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年齢を重ねると身体イメージはどうなるのか

自分の身体のイメージに,どれくらい満足できているでしょうか。私自身はまったく満足できていないのですけどね(かといって何か積極的に改善することをするわけでもないのですが)。 多かれ少なかれ理想と現実の「ズレ」は,自己評価や自尊感情を低めることにつながります。理想の自分自身と現実の自分自身が近づいていくと,よりポジティブな自己評価へとつながっていきます。 そして,身体イメージ(ボディ・イメージ)も,理想と現実のズレを突きつけてくる問題の一つです。なぜなら,どう頑張っても理想に

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