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ダークな性格は年齢とともにどう変わっていくのか

ダークなパーソナリティといえば,ダーク・トライアドが知られています。これは,ナルシシズム(自己愛。自分が好き),サイコパシー(冷淡で罪悪感を抱かない),マキャベリアニズム(他者を思い通りに利用する)という3つのパーソナリティ特性のまとまりのことを指します。また,これらにサディズム(他の人の苦痛を見て快感情を抱く)を加えて,ダーク・テトラッドと呼ばれることもあります。

最近,社会的に避けるべきパーソナリティ特性の総合体として,「D」と呼ばれる統一因子が研究されるようになってきています。ダーク・トライアドもダーク・テトラッドも,それぞれのパーソナリティ特性には重複がって,統計的に重なる部分を抽出することができます。

また,その他にもスパイト(spitesulness;悪意,意地悪)や,冷淡さ(callousness;他者への配慮の欠如),ずるさ(deceitfulness;他の人を欺く傾向),執念深さ(vindictiveness;報復する傾向),自己愛的特権意識(narcissistic entitlement;自分に価値があって特別扱いされるのが当然)などなど,「D」に関連するさまざまなパーソナリティ特性が研究されているのです。

年齢との関連

「D」は,成人期を通じて年齢とともにどのように変化していくものなのでしょうか。年齢が上昇すると,反社会的な傾向は収まっていくのか,それとも変わらないのか……。

たとえば,Dと逆方向に関連すると考えられる,HEXACOモデルの正直さ・謙虚さ(H因子)は,年齢とともに少しずつ上昇していくことが知られています。また,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの協調性も,Dとは逆向きの関連を示します。そしてこちらも,年齢とともに上昇していきます。

ということは,Dは年齢とともに低下していくのではないでしょうか。年齢とともに,社会において適応的な方向へと心理特性が変化していくことを,成熟の原則といいます。Dについても,同じようなことが言えるのでしょうか。

では,実際に検討した研究で結果を確認してみましょう。こちらの論文です(Age and gender differences in socially aversive (“dark”) personality traits)。

方法

知らなかったのですが,こういうサイトがあったのですね。「D」についての解説や,測定するページが用意されているサイトです。

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