小松 淳

1956年生まれ、神奈川県出身、1980年から建設分野の技術コンサルタント(東京都千代…

小松 淳

1956年生まれ、神奈川県出身、1980年から建設分野の技術コンサルタント(東京都千代田区)に勤務。1992年から茨城県牛久市在住、趣味はラグビー観戦。信条は好奇心、探求心を保ち続けること、その一つが「土木ということば」。

最近の記事

“Infrastructure”は、最初から土木事業、公的資本を表すことばだった(19世紀半ばのフランス鉄道官民連携事業)

1857年1月28日、ロシア鉄道のコンセッション契約書のフランス語版に”l'infrastructure et la superstructure”との対語表現で”Infrastructure”ということばが登場した。まもなく、登場してから、167年だ。第二次世界大戦後の冷戦下にNATO(北大西洋条約機構)で使われるようになった、のは英語での話。最初はフランス語だった。 クリミア戦争敗北後、鉄道網の整備を急ぐロシアは、その頃、フランスで盛んに実施されていた官民連携の鉄道事業

    • 「社会インフラ」の誤用を止めて「インフラ」を使おう

      要旨:「社会インフラ」は「インフラ」の一部 交通、通信、電力、水道、廃棄物処理、公共施設、治水、防災等を総称して 「インフラ」 または「インフラストラクチャー」または「社会資本」と表現すべきである。「社会インフラ=Social Infrastructure」は、これらと同義ではなく、医療(病院)、教育(学校)、治安(警察)、公共施設(公園、公会堂、図書館、公営住宅等)など、「インフラ」の一部を構成する社会的サービスのことである。 OECD(経済協力開発機構)をはじめ、英国、

      • 「後世への最大遺物」中「土木」口述部分の異同

        内村鑑三の明治27年(1894年)の口演「後世への最大遺物」には土木事業に言及した部分が多くあり、「土木」ということばの用例としても興味深い。そのテキストには異同がある。口述をそのままテキスト化したであろう東京十字屋書店版、3年後に親友の経営する京都便利堂書店から出版した改版、その2年後に東京独立雑誌社から出版した再販、さらにその33年後の内村鑑三全集所収の改版(決定版)である。 最初の東京十字屋書店版を除いて、内村鑑三自身の序が附されており、時代に合わせて、言い回しを修正し

        • 「土木」ということばの歴史を辞書でたどる

          ※月刊「建設」2020年1月号に寄稿した「土木」ということばの歴史を辞書でたどるのうち、国語辞書類がインターネット上で公開されなくなりつつある現状を踏まえて、内容を修正してここに記す。 1. はじめに2019年9月、三省堂の国語辞典『大辞林』が13年ぶりに改訂、第四版として発売された。 三省堂「大辞林第四版」 「土木」の項目がこれまでとは一線を画す新たな説明内容となったので、「土木」ということばと関連語を古代からたどりながら、ここに紹介したい。 2. 辞書の「土木」の

        “Infrastructure”は、最初から土木事業、公的資本を表すことばだった(19世紀半ばのフランス鉄道官民連携事業)