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KC Interview Vol.4 やりたいことをやる

前回に引き続きKPMGコンサルティングの人材開発室ディレクターの金子さんと弊社の百瀬朝子のインタビューの模様をお伝えいたします。

コンサルティングファーム解体新書 KPMGコンサルティング

プラクティス(コンサルティングを行う部門のこと)から人事部に異動した金子さん、コンサルタント経験者ならではの視点から人事の仕事に向き合っています。今回はそのあたりについて詳しく語っていただきました。


やりたいことができるステージを求めて転職。

人という不確実なものと向き合う人事の仕事にコンサルタント視点からの気づきや変化を生み出していく。

百瀬:
人事部に異動して、腰を据えて採用などに携わることができて、実際どうでしたか。

金子D:
めちゃめちゃ楽しいです。僕も人間なので、大学に戻らなくてよかったのかな、とか、プラクティスから完全に離れてよかったのかな、と未練や後悔がないといえば嘘になりますが。実際にこの人事の仕事をはじめてからは、プラクティスに戻る選択肢はなくなったように思います。

百瀬:
なるほど。人事一本に身を捧げているわけですね。ここで質問なのですが、KPMGコンサルティングの人材開発室に転職された理由やきっかけなどを教えていただけますか。

金子D:
ステージの違いがあったから、ですね。
前職は、新卒採用でいうと、僕が在籍していた時で350名ほど採用していましたし、今では500名採用しているそうです。

僕が本当に好きでやりたかった仕事は、人とちゃんと向き合ってコミュニケーションをとって、採用し、育成し、コンサルタントとして活躍してもらうことです。コンサルティング業界や会社に興味をもってもらうところから、一気通貫でお付き合いしたかったわけです。それこそが、14年間の現場経験で、失敗も成功も体験している僕だからこそできることだと思うので。

ただ、新卒で350名採用するとなると、正直そこまで丁寧なコミュニケーションは取れないですし、恥ずかしながら顔と名前が一致しないこともありました。必死に覚えようとするものの、限界がありまして。

そうなると顔と名前が一致していない人を採用して育てることができるのか、と自問自答がはじまり、やりたいことと現実との矛盾が自分の中でどんどん大きくなってしまいました。僕が人事部に異動した当初は新卒採用が5、60名だったのですが、会社を大きくしようというフェーズになり、どんどん増え、最終的に350名規模になりました。このステージでは、僕がやりたいことができない、と感じたので、それならば、僕のやりたいことができるステージにある会社に移ろう、と思ったのが転職を考えたきっかけです。

百瀬:
KPMGコンサルティングは、金子さんがやりたいことが実現できるステージ、すなわち、ちゃんと顔と名前が一致する規模感で採用活動を行っていた、ということですね。

金子D:
あとは、KPMGコンサルティングは、実は新卒のときに内定をもらった会社でして。入社の時に社名が変更になったので、KPMGコンサルティングで仕事はできなかったのですが、そういった過去もあり、なんとなく思い入れがあるというか、懐かしいという気持ちもありました。

百瀬:
はい、その気持ちはよくわかります。私も中途採用の面接はKPMGコンサルティングで受けて、内定は名前が変わった会社からもらった経験があるので、勝手にすごく親近感があります。

金子D:
ですよね!そういうこともあって、KPMGコンサルティングに知り合いの方もいて、転職前に色々話を聞いたところ、大量採用をしようと思えばできるけれど、あえて無理して採用していない、ということがわかりました。そこにはKPMGコンサルティングならではの採用戦略というか戦術があって、そんな話を聞いた時に「自分がやりたいことがここならできるかも。」と感じて、2年ほど前に転職しました。

百瀬:
色々と経験しながら自問自答を続け、最後には自分の好きなこと、やりたいことを軸に転職をする。すごくいいですね。
先ほど、コンサルタントとしてプロジェクトにアサインされている時の話で、アルゴリズムのような"型"がある、というお話がありましたが、これを採用に当てはめて考えてみると、インプット(人)が変わると、それに伴ってアルゴリズム"型"も変わって、アウトプットも変わるような気がしました。

金子D:
そうそうそうそう。世の中で一番、不確実性というか、難しい言葉だと偶有性といいますが、その偶有性が高いのは"人"だと思っています。人事の仕事は"人"を扱っている仕事なので、これをこうしたらこうなる、というような確実性はないし予測も立てられない。
なので、何年やっても"型"アルゴリズムが自分の中で構築できなくて、そこに面白みを感じています。僕は2周目は走れない、と言いましたが、人事の仕事では、2周でも3周でも何周でもできる。

クライアント企業の課題も、もちろんケースバイケースなので、同じものはない。とはいえ、ある程度の"型"がある。むしろ、"型"がなく、すべてオーダーメイドでやっていたら、コンサルティングファームとしては予算も時間もかかるので、フレームワークなどを使って、効率的に課題を解決できるような方法論を持っている。このフレームワークや方法論が、コンサルティング各社ごとに特色が出る部分ですよね。

百瀬:
おっしゃる通りですね。
金子さんは、現場で14年間コンサルタントとして活躍されていましたが、コンサルタントはプロジェクトベースで、人事のお仕事はルーチンワーク的な要素もあると思います。働き方の違いや、考え方の違いがそこにはあると思うのですが、どのようにトランスフォームされたのか、あるいは、前の経験を活かしてらっしゃるのか気になるところです。

金子D:
人事の仕事に携わる上でこれまでのコンサルタントの経験はものすごく活きています。僕を育ててくれたクライアントや、当時の仲間たちには本当に感謝しています。
コンサルタントに求められる思考法は少し特殊だと思います。「これが問題です」と言われた時にまずなぜそれが問題なのだろうと考え始めるじゃないですか。もっと言うと、本当にそれ問題なのかまで考えます。根本的に問題解決したい意欲がそういった思考回路につながっていると思います。

加えて、コンサルタントとして仕組みを作ってきた経験も役立っています。問題を解決する際、表面的に何かを変えたところで、その場限りの解決策で終わってしまいますが、そうではなく、長期的に業務をより効率化させたり、生産性をあげたりする仕組みを作る。そういった長期的な目線で業務改革・意識改革というところまで包括的に行って問題解決に携わってきました。

人材開発室採用チームとして、人と向き合うところこそ主戦場で、そこに時間を割きたいと考えています。とはいえ、採用を行う上では事務的な処理も発生しますので、そこにだけ時間を費やせるわけではありません。
そこで、人と向き合うところに時間をかけるためには、どのような仕組みが必要か、と考える、コンサルティングマインドが活きてきます。

百瀬:
なるほど。どこを自動化して、どこを効率化するか。これはいわゆるBPR(Business Process Re-engineering)プロジェクトや、システム導入プロジェクトで我々がクライアントに対して行ってきたことですしね。

金子D:
そうです。その昔、システム導入のプロジェクトにアサインされていた時に、システム導入よりも、もっと上流の戦略がやりたかったのにな、という思いもあり「なんでこんなことやっているんだろう。」って思っていたことも、正直ありました(笑)
ただ、そのシステム導入のプロジェクト経験が活きていて、経験していて良かったと感じています。
また、現在人材開発室に所属はしているものの、未だになんか、人事の仕事を外からみている感じがしています。

百瀬:
自分や自分が所属する組織を俯瞰して見ている、という感覚でしょうか。

金子D:
そうです。先ほど話した、腰掛けで人事をやっていた時代は、物理的に外から人事部を見ていましたが、そういうのではなく、腰を据えて人事部にいるにも関わらず、なんというか、いつも客観的にみている自分がいるように感じています。
何か問題が発生したり、予想外のことが起こったときに、この現象はなんだろう、なぜ起きたのだろう、というようなことを常に考えてしまうんです。

もちろんそれは、コンサルタントの経験があるからそういう思考回路が定着している、というのもあると思うのですが、それだけではなく、学生時代に学んだ社会学や哲学にも原点があるような気がしています。社会を俯瞰してみて、"これが課題ではないか"という議論をしていたのですが、その際にも視点を色々と変えて見直すことを繰り返して行っていました。よって結局答えがでないこともありますが、それが社会学の良いところだと思っています。

今、人材開発室で採用に関わる中で、常にそういう視点を持っていることの重要性を感じています。そういった視点でみると、色々と気づけることがあるしできることも増えていくと思って。

百瀬:
不変なものは、この世の中に存在しないですよね。社会も人も変わっていくし、その都度クライアントが直面する課題も変わっていく。そう考えると、仕組みとして軸を持つことも大事ですが、その軸にこだわりすぎて変化することをやめてしまうのは、逆にリスクでしかない。

では、どうやって変化していくのか、どこを変化させるのか、どのタイミングで変化を受け入れるのか。そこを見極めるためには、金子さんのような視点が必要なわけですよね。
金子さんのコンサルタント的思考や社会学的視点が、KPMGコンサルティングの人材開発室に気づきや変化を与えていくのは間違いないと思いますし、今後どのように発展していくのか楽しみでもあります。

金子D:
ありがとうございます。今の時点でも、すでに良い感じになってきたと思っています。ただ、まだまだやりたいことがあって、山登りに例えると、まだ0.5合目くらいです。でも、この0.5合目は偉大な一歩だと思っています。

焦ることもないので、今後もゆっくりじっくり構えて良いチームにしたいと考えています。なによりも、弊社のクライアント企業に喜んでもらえるビジネスができるようにするために、貢献していきたいと思っています。

百瀬:
素晴らしいですね。良いお話をありがとうございます。

金子D:
良いこと言うようになったでしょ?

百瀬:
めちゃくちゃ良いこと言ってます(笑)

金子D:
昔は全然違ったよね、多分ね。

百瀬:
なんか飲みながら、お互いウダウダ言ってたよね(笑)

金子D:
そうそうそう、そう、ホントそうよ(笑)

百瀬:
それはそれで楽しかったけどね(笑)

次回に続きます)

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