見出し画像

大分→東京 上京8周年記念日

本日3月9日は、わたしの上京記念日です。

八年が経ちました。

ここまで元気に過ごせたのも多くの方々の支えがあったからです。

本当にありがとうございます。



八年前のことは鮮明に覚えています。

品川駅の駅員さんに

「山手線の時刻表をください」

と言い鼻で笑われた八年前……。


新聞屋に住み込みで働くことになっていたので

真っ先に向かったのは品川区二葉にある販売店です。

100年くらい前からずっとそこにあったような住まいが

わたしを待ってくれていました。


階段はぎしぎしと音を立て、部屋は天井が低く、押し入れの中には赤い字で「NO FAMILY NO LIFE」という不気味な文字が暗闇に映えていました。

大分から持ってきたものは服と布団だけだったので

四畳の部屋はずいぶんとさみしかったのを覚えています。

最初の二日間は夜の孤独感に耐え切れず泣きました。

やっていける気がしませんでした。




その直後に地震がきました。

ワケがわからなくなりました。

自分の部屋にテレビがなかったので、販売店のブラウン管のテレビを眺めては涙を流しました。

ニュースを見ては涙を流しました。

こんな時だから、私たちが強く、東北の方たちを支えよう!

そんな雰囲気が日本を覆っていた時、わたしは何もできませんでした。

悔しい気持ちにもなれませんでした。

慣れない生活に、この世の終わりを知らせるような揺れは

強い衝撃をわたしに与えました。











それから二週間後にやってきた同期の新人は18歳の男の子でした。

仕事場はわたしの次に若い方が40歳くらい方で50代、60代の方ばかりでしたので、少しだけ心が救われました。

しかし、彼も二週間で辞めてしまいました。



その後は俳優養成所に入りますが、かなり孤立していました。

みなさんはコミュニケーション力が高い方ばかりで

孤立していく自分に悩みました。



六月ごろにはガスが止まってしまい、一か月だけでしたが

冷水シャワーの時期がありました。

修行僧になった気分でした。


暖かくなってくるとごきぶりさんが見たこともない勢力で現れます。

冷水シャワーを浴びようと全裸になりアコーディオンドアを引くと

目の前に落ちてきた時もありました。


一つ面白かったのは、これも100年くらい前からあるんじゃないかと疑ってしまうレベルのごきぶりホイホイがありました。

ある日現れたターゲットをホイホイに追い詰めた時……、




あたかも毎日通ってるかのごとく

入り口から入って出口から出てきました。

屍を越えているのです。末恐ろしいです。



月末の集金時期は睡眠時間が極端に減るためとても苦労しましたが、


下町である戸越公園のじいさまばあさまの方々に

相当可愛がっていただきました。



毎月お邪魔するたびにお菓子をくれるばあさまたち。

お年玉をくれたおっちゃん。

お茶屋の店主は抹茶のソフトクリームを振る舞ってくれます。

家にあげてくださり、家族の晩御飯にご一緒させていただくこともありました。

それから、それから……。










お別れの時はまた涙を流しました。スーパーカブで走りながら泣きじゃくった日は、一生忘れません。











わたしを大きく育ててくれた販売店は

もうなくなってしまいました。





何度も倒して、ぐにゃぐにゃにかごの曲がってしまったスーパーカブももうありません。


蜂が頻繁に巣を作るベランダもなくなり、蜘蛛の巣だらけの和式トイレもありません。


毎朝起こしにきてくれたよぼよぼなおっちゃんたちも

携帯とか持ってなくて連絡が取れません。




朝刊を配り終わって松屋に行く日々も、

借りたDVDを又貸しすることも、

缶コーヒーを差し入れすることも、

「これは何も見えんから使いものにならんなあ」と伊達メガネを捨てられることも、







すべてが尊く、返ってこない時間になってしまったのかと思うと、

さみしい気持ちになります。









かなり酷い場所だったと思いますが、

どうやら居心地がよかったみたいですね。









と、

八年前の新聞屋時代はとても刺激的な日々だったので

ここに記録してみたくなりました。






これからホームレスになったりと、テレビ朝日の人にカメラ前で寝落ちしてしまい死ぬほど怒られたりと、映画祭で盛大に名前を間違えられたりと……。





色々なことを経験しましたが、

まあ元気にやらせてもらっております。



これからも多くの人に出逢いたいですね。










みなさまこれからもどうぞよろしくお願いいたします!

佐久良マサフミ

お金にならないことばかりやっております……。もしよければ少しでもお金ください。大喜びします。