ルワンダで暮らし始めて1年が経過した。|1月29日〜2月4日
はじめに
ミリウェネーザ!(こんにちは!)
ルワンダコーヒーを飲みながら、日差しを浴びながら、日記を書いています。
配属先に対して、3ヶ月毎に活動報告書を提出しています。
3回目にして今回初めて、連盟スタッフから返信が届きました。
(これまでは提出しても、スルーされてた(笑)悲しかった)
そして今週、ルワンダで協力隊として活動をはじめて1年が経過しました!
この場所で1年間活動してきたんだ・・・と実感するような出来事が多かった1週間。
ストレスも多かったのですが、日曜日を迎えた今、充実した気持ちでいっぱいです。
こうした環境で陸上競技に関わる活動ができていることに改めて感謝です。
それではスタート!
1月29日|彼が考える理想の体育のかたち
序盤の20分間で行う準備体操がようやく形になってきた。
体育教員の彼は、生徒がバラバラで行うジョギング、歩いている生徒、森の茂みに隠れてサボる生徒に頭を悩ませていた。
彼としてはクラス全員が揃ってジョギングを行ってもらうことで、全体の士気を高めたいと考えていた。また、クラスがチームとして協力し合ってほしいとも言っていた。
「クラス全員が揃ってジョギングをする。」
約7ヶ月くらいかかったが、ほとんど全てのクラスが全員でジョギングするようになった。
「みんなで一つの列になって走るんだよ」
「ゆっくりでもいいから全体で同じペースで走るんだよ」
「誰かが前に行きすぎたり、遅れることもあるからその時は助け合うんだよ」
はじめは「Yes」と言うものの、100m過ぎたあたりで既にバラバラ。
中には途中で抜ける生徒もいた。
クラスにいるチーフ(クラス代表的な)女子、男子を巻き込んで徐々に改善。
ルワンダでもジョギングの際の掛け声がある。
日本の
「いーち、にー、いちにさんしー」みたいな。
ルワンダの場合は「アマージ、マジ、アマージ、マジ」「レッツゴースポルティフ!」というように、掛け声の種類がいろいろあるのだけど、クラスごとで違って、みていてとても楽しい。
その後のウォーミングアップも少しずつ変えてみた。
ストレッチ→リズミカルな運動→バランスの運動→体幹
生徒に「ジェンダーバランス!」と言われて、これまで男子生徒が主体で行っていたウォーミングアップを
女子生徒主体に変えてみたりもした。
毎回の出席確認も必ず行うようになった。
「並んで」と伝えても、
列すら作ってくれなかった生徒たちが
今では声を掛け合って、列を作るようになった。
彼が考える理想の体育に向かって、
少しずつ、少しずつ、できることを丁寧に。
1月30日|後任のボランティア派遣について
今日は後任のボランティア派遣に向けた話し合いを行うため
キガリからV C さんが活動先に訪問してくれた。
前校長はこれまでボランティアを受け入れた経験もあり、
どういった組織なのかをものすごく理解していた。
誰に言われるでもなく、グラウンドに足を運んで活動をみてくれたり、
いつも助けてもらっていた。
新しい校長にボランティアや組織のことを説明していただいたが
正直、3割も理解していない気がする。
その後、カウンターパートと話し合った。
実際1年一緒に活動してみてどうだった?
もし次のボランティアが来るとしたらどんなこと求める?
などなど。
「自分自身もコーチとしてのスキルをさらに高めていきたい。」
「選手にとって、貴重な経験になる」
彼の言葉が本音かどうか正直なところ分からない。
だけど「ものがもらえるから」「お金がもらえるから」という言葉がなかったのは
私の活動の意義をしっかり理解してくれていると感じられてよかった。
彼にとって、後任の方にとって、そして何より選手にとって
意義のある活動にしていけるように、私もできる限り協力したい。
1月31日|近隣の学校の生徒が仲間入り…!
今年に入ってから選手のリクルート活動が本格化している。
カウンターパートは自身が働く学校で選手をリクルートしていて、
最近3名ほどの選手が練習に参加するようになった。
どの選手もガッツがある。
初めての練習であったとしても
「やってみる!」
「楽しい!」
「難しい!」
「でも、もう一回!」
健気に陸上に取り組む彼らの姿勢は確実に、多くの選手に刺激を与えている。
これからの彼らの活躍が楽しみで仕方ない。
2月1日|価値観は人それぞれ。それでも許せないことはある。
今日はナショナルヒーローズデー!
国に重要な貢献をした個人を讃え、記念する日。
ルワンダの国民の英雄の日は、国の歴史の中で重要な役割を果たした人々、特に困難な時期や変革の中で功績を挙げた人々を称えるために制定されたらしい。
一部の生徒は近くのホールに行き、その式典に参加した。
Imanzi(マンジ)、Imena(イメーナ)、Ingenzi(イゲンジ)と3つのカテゴリーに分けられているらしい。
Imanziはルワンダにおいて最も貢献した人々や素晴らしい業績を残した最高の英雄を意味する。
Imenaは、同様に素晴らしい功績を残した英雄たちだ。
Ingenziは、現在もなお生存しており、模範的な行動や素晴らしい業績を残した英雄たちを意味するそう。
さまざまな行事や式典が行われ、国の歴史やその英雄たちの成就と犠牲に思いを馳せる機会となる。
私の学校でも、一部の生徒は近くのホールに行き、その式典に参加した。
今日は祝日ということで、朝練のみ。
家に帰って、すぐさま料理に取り掛かる。
近くに住んでいる隊員さんのお友だちが私の家に来て日本食パーティをする予定があったからだ。
日本料理を振る舞うのはこれが初めてではないのだけど、唐揚げ、肉じゃが、そしてカレーを振る舞うことにした。
無事完成して、パーティは始まった。
カレーを温めなおしている間に、唐揚げを振る舞った。
すると、ある1人が
「え?なにこれ?こんなの食べられない。」
「ちょっと待って、これを私に食べろって?」
「いらない」
・・・・・・・・・・
「え?あ、ごめんなさい」
せっかく準備したのにと思った。
食べてもいないのに、拒否されるとは。
その後、カレーを持っていくも、明らかに嫌な反応をされる。
追い討ちをかけるように
「なんかゲームないの?」
「なんていうか、この空間つまらない・・・」と。
・・・・・・・・・・
「あ、ごめんなさい。」
それしか言葉が出ない。
いや、わかるよ、異文化で育ってきて、全く異なる価値観があるってことは。
日本のように本音と建前を使いこなすことは当たり前ではないことを。
でも、これは文化どうこうという前に別の問題なのではないか。
はっきり自分の気持ちを言えるのは素晴らしいことだと思うし、それが必要な場面も多くある。
でも、これは許せない、というか、平気にすらなれないなと思った。
私はルワンダに来てから、出されたものに対して拒絶したことは一度もない。
どんな料理も、どんな風習も、まずは挑戦してきた。
自分がこうしてきたから、相手にも「こうすべき」と押し付けるのは違うけど、それでも許せない。
伝えることすら諦めてしまったけど、正直もう二度と料理を振る舞いたくないと思った。
悪気はないことはわかっている、だけど、許せない。
2月2日|ルワンダに来て1年が経過した。
近隣の学校に通う女子生徒が本日から活動先の量で生活することに。
親元を離れて生活するのはこれが初めてとのこと。
彼女の顔にも緊張が見えた。
校長や寮スタッフ、他スポーツのコーチ、生徒に彼女を紹介し
少しずつ明るい表情に。
陸上クラブの女子選手に諸々助けてあげてほしいことを伝えた。
彼女のこれからが楽しみで仕方ない。
才能あふれる彼らとの出会いは、心が震えるほどワクワクする。
そして、なんとルワンダで暮らし始めて1年が経過した。
あっという間だったような、毎日が濃すぎた1年。
嫌なこともたくさんあるんだけど、
毎日楽しく過ごせている。
それは、今指導している選手たちのおかげ。
イライラやストレスを感じることもたくさんあるのだけど、
彼らを私は心から大切にしたいし、心の底から愛している。
彼らが目指す結果を得るために、時には厳しい練習、厳しいことを伝えたりもした。
でも、その厳しさを上回る愛を持って、接してきた、つもりである。
そして、周りの日本人、ルワンダ人に救われながら、
なんだかんだ笑って過ごせた気がする。
完璧主義なところがある私にとっては、
「あ、まあ、こうしたらいいか」
「まあ、そんなもんだよね」
と大抵のことに対してそう思えるようになったのは大きな変化だと思う。
ルワンダ人にも「あいつ愉快なやつやな。」「変な人やな。」と思われているんだけど、
実はそうでもなくて、私は周りが思う以上に内向的な部分があるし、ちょっとした出来事や人の言動を気にして、
その事柄の背景を夜にじっくりと1人で考えるような人間だ。
自分自身にもたくさん向き合った一年間。
間違いなく、成長できた、と思っている。
水も電気も安定しない
歩いているだけでじろじろ見られる
異文化、価値観も全く違う彼らと関わりながら
娯楽も少ない中で生活し
それに加えて、陸上競技の指導をしている。
わたし、頑張っている。
この場所で一年間、健康に生きてこれた自分に拍手!
2月3日|選手の怪我と涙と自分の不甲斐なさ
朝練中の出来事。
土曜日の朝は私の家近くの道をジョギングする。
ゴールは私の家。
ほとんどの選手が帰ってきて、ストレッチをはじめた。
ただ、1人の選手が一向に帰ってこない。
それは私が練習前に
「今日はスピードを少し上げて、そのスピードをキープすることを意識して走ってみて」と伝えた選手。
全員がストレッチを終えても帰ってこない。
朝ご飯の時間が近づいていたため、他の選手は学校に戻ってもらい、
1人の選手と一緒に彼を探しに行くことに。
近所のおじさんやマダムに「白い上着を着た背の高い男の子見なかった?」と声をかけながら、走って探し回った。
走って15分ほど経った時に、道で横たわっている男子選手を見つけた。
右腿に上着を強く巻き付け、足を圧迫している彼。
私たちを見つけた瞬間、涙を浮かべていた。
練習前に、彼のコンディションは確認していたと油断していた。
ストレッチが不足していたし、朝に無理させるんじゃなかった。
その場所はかなり田舎のほうで、自転車もバイクも走っていないような場所。
ついてきた選手と2人がかりで彼支えながら、彼を家まで連れて帰る。
凍らせていた氷を持ってきて、アイシング。
いわゆる、RICE療法を行った。
大会が近いのに(日程決まっていないけど)、怪我をさせてしまって私は何をしているのだろうか・・・。
選手の怪我は、これほどまでに苦しいものなのか。
そんな選手は、怪我したことをあまり気にしていない様子で
午後の練習も寮で休んでいてと伝えたのにもかかわらず、練習のサポートがしたいと練習場所にやってきた。
無理させて、怪我までさせてしまってごめんね。。。
2月4日|「コーチ!手紙を書いたから読んでほしい。」
昨日の午後練習終了後、ある選手から深刻そうな顔をして私の元にやってきた。
「コーチ。明日は来る?」
「いや、明日はオフだから練習ないよ。なんで?なんか用事ある?」
「練習やこれからのことで手紙を書くから読んでほしい」と。
えええ、なに?
クラブを辞めたい?選手を辞めたい?種目を変えたい?指導に対する不満・・・?
頭をフル回転させて、考えるが、どう考えても悲しい出来事が起こる予感しかしない。。。
「えええ、わかった。明日の何時に行けば手紙をもらえる?」
「明日の昼以降に渡すね」
不安で眠れないじゃないか・・・・。
そして迎えた今日。
手紙を持ってやってきた彼。
「え、今読んでいい?それとも、あとで読んだ方がいい?」
「今読んでいいよ」
そして、その場で読んだ。
その内容は、今週木曜日の練習を休んだことに対する反省文章だった。
事情は他の選手から聞いていたので「まあ、仕方ないな」と思っていたし、正直あまり気にしていなかった。
練習を無断でサボるなんて当たり前だった1年前。
ましてや、勝手に練習メニューを考え、ロード練習をしていたような選手。
彼の意思で行動していることだし、18歳の彼に指図するつもりは全くないのでこういったことに怒ったことはない。
反省を示してほしいなんて伝えていないのに、唐突に彼から謝罪の手紙をもらい、なぜか拍子抜けしてしまった。
「えええ、ありがとう。明日お返事渡すね」とだけ伝えて、すぐに彼の元から離れた。
彼の変化に涙が出た。
彼の誠意がとても嬉しい。
練習を無断で欠席したことに対して悪いことと認識して、謝罪が必要だと考えた彼の行動もとても嬉しい。
1日1日の練習をこれだけ大切に捉えてくれていることもとても嬉しい。
何よりこの一年の変化がとても嬉しい。
人の成長や変化を間近に見れるってこんなに幸せなものなのか。
おわり
今週はいつも以上にストレスを感じた1週間でした。
些細な行動や言動が心を刺激して、イライラというかムズムズする出来事が多かったです。
サウナ行ったり、少し贅沢してホテルでご飯食べたり、お酒飲んで好きな音楽聴いたり。
自分で自分の心のバランスを保ちながら、なんとかご機嫌をとって過ごしました(笑)
ルワンダ生活も残り一年。
健康に過ごしていきたいです。
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