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#02 第1章 なぜ今“共感マーケティン”が必要なのか


多くの企業が抱えるマーケティングの課題とは

 本書を手に取ってくださった方々の中には「モノを売る」ということに対して、様々な戦略設計や施策実行をしてきた方々がいらっしゃるでしょう。あるいは、これからそのような取り組みを始めようと考えている方も多いかもしれません。

「売上を上げていきたい」
「新規のお客様を増やしたい」
「リピート顧客を増やしたい」
「商品のコアなファンを増やしたい」
「商品をより多くの人に知ってもらいたい」
こうした課題に取り組むため、日々実務に向き合われていることと思います。
SNSマーケティングに特化した弊社にも、このようなお問い合わせやご相談が数多く寄せられます。

特に多いご相談内容は次の通りです。
「世の中の課題を解決するためにこの商品を開発し、自社でマーケティングを行っているが、なかなか売れない」
「SNSを活用して商品認知を高め、販売につなげたいが、SNS経由の売上が上がらない」
など、こうした課題を抱えている企業がほとんどです。

マーケティングの手法や考え方は、時代とともに大きく変化し続けます。3年前や5年前の施策が今の時代に通用するかと言うと、その答えは「ノー」です。おそらく、やり方や考え方を見直す必要がある施策も多いことでしょう。

ネットでモノを売ることに関しても、現代では個人単位でSNSを使って商品を市場に発信したり、広告を配信したりすることが簡単にできるようになりました。

かつては何百万円、何千万円という費用をかけてECサイトを構築し、販売していた時代もありましたが、今では個人で簡単にネットショップを作成し、無料で開設できるようになっています。つまりは時間やお金、技術面などの問題で諦めていた人たちが簡単に市場に参入し、大企業と同じ土俵で戦えるようになったのです。


要するに、少し前には考えられなかったほど多くのモノが、これまでとは桁違いの量で市場に出回っているということです。その結果、本当に価値ある商品が埋もれてしまい、発信やプロモーションの方法一つで、商品の認知度や売れ行きに大きな差が生まれてしまっています。

さらには、個人のネットリテラシーも格段に向上しました。そのため、一過性の広告では商品に興味を持ち、購入してもらうことが難しくなっているのが実情です。消費者は一つのサイトだけでなく、他のサイトで口コミを確認したり、最安値のサイトを検索したりして「本当に良いモノ」や「本当に自分に必要なモノ」を見極める力を身につけています。

このような状況下で自社商品を見つけてもらい、購入してもらい、さらにはリピートしてもらうためには、一体どのような施策が必要なのでしょうか。


第1章では、このような課題に対して、本書のテーマとなる「共感マーケティング」の必要性について述べました。時代に合わせた市場トレンドを深く理解し、マーケティング思考で戦略を立て、素早く軌道修正していく力が必要不可欠の時代です。まずは「共感マーケティング」の理解を深めていただくことで、その重要性を明確にしていきたいと思います。

「共感マーケティング」とはなにか。インサイトが共感を生む

アットファンズ・マーケティングでは、「共感マーケティング」とはズバリ「自分でも気づいていない気持ちに気づきを与え、寄り添うこと」と定義しています。これは、近年注目されている「インサイト」を理解したマーケティング手法です。

インサイトとは直訳すると「洞察」や「物事を見抜く力」を意味しますが、マーケティングにおいては「人を動かす隠れた心理」を指します。つまり、人を動かす隠れた真理を捉えたマーケティング手法のことで、ユーザーインサイト、顧客インサイト、消費者インサイトとも呼ばれます。
経営者の多くが「モノが売れない」という問題を抱える背景には、いくつかの要因があります。先述したように、世の中にはモノが溢れ、高品質で低価格の商品やサービスが当たり前になりました。個人のネットリテラシーも格段に向上し、同じ品質や価格帯の中で競争が激化しています。そのうえ、消費者が商品を選ぶ理由が明確でないことが多く、非常に難解な問題となっています。
例えば、ある商品を購入した理由が「単純に可愛かったから」「なんとなくおしゃれだったから!」「よく広告で見かけるから……」などといったものです。実は、これが「インサイト」の正体なのです。
人が何か決める時には必ず理由があります。しかしながら、本人さえもその理由に気づいていないことがほとんどです。その理由となる欲求部分に訴えかけられているかどうかが決め手となり、商品を購入する行動に繋がっているのです。

高品質で低価格の商品やサービスが当たり前になった現代において、重要なのは「私にとって必要なのか」や「これを使うと満足できるのか」といった消費者にとっての共感ポイントです。この共感ポイントこそが、判断基準の最重要事項となっているのです。
このようなインサイトを理解し、消費者が何を求めているのか、何に満足感を得たいのか、何を叶えたいのかという「インサイト」を発見しなければ、新たなファンを獲得するのは難しいと言えます。



つづく。