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番外編 誰かのファンであるということ

イチローファン=高尚な趣味?

シーズン前にイチロー選手の試合日程を見て、それに合わせて休暇のスケジュールを組み、仕事の調整をするのが通常だった頃、友人に「アイドルの追っかけと何が違うんだよ」と言われたことがある

何も違いません

お金と時間さえあれば、イチロー選手の試合を全て見に行って、遠征先も行って、一日中スタジアムに座って、主食はホットドッグだと思うよと答えた

私から違うと言ったことはない。というより、何か/誰かと比較したことがない。酔狂な女だなと自分で自分を笑いつつ、いい行動力だね!と自画自賛して、何だかしょっちゅう涙してきただけで、イチロー選手が素晴らしい実績を残し、その行動やマインドが尊敬を集めるほどによく知られているが故に、「高尚」な趣味っぽく受け止めているだけなのだ

私はイチロー選手の素晴らしさをわかってもらいたいと思ったことすらない。それはプロに任せているのと、イチロー選手を好きだというと「でも性格悪そうじゃん」などと言われた時期があり、心を閉ざしました。性格がいいか悪いか野球のパフォーマンスに関係あるの?そもそも身近にいないとわからなくない?など、ド正論で議論することに疲れ、私が何か/誰かを好きだということを理解してもらうはない、私が好きであればそれでいいと心底思っていた

そして冒頭の質問には、「アイドル」にカテゴライズされる人たちへの偏見がありますね?最近、BTSが好きだと言うと、大抵ガッカリされる。なんでガッカリするんだよと聞いたところ、「イチローファンがそれじゃ普通だ」「大谷にしてほしい」とのこと。う〜ん、イチローさんや大谷翔平選手のことを好きなのも大変に「普通」だと思う。ザ・スーパースターですよ

アイドルに対する偏見については、多くの方が語っていると思うので、一旦置いておいて、29年目に入った私のイチローファン歴、人生の三分の二を捧げているイチローさんファンをすることにおいて、自分に課してきた掟を書きたい。この掟はまだ浅いBTSファンとしても生きている

自分に課した掟

掟というか、自制といってもいいかもしれない

「イチロー」になる前を追いかけない

今のイチローさんが、お育てになったご両親を始めとするご家族、環境、お友達、愛工大名電高校を含む学校など、プロ野球選手になるまでの生活がベースとなって形作られていることは十分にわかってる。しかし、それは注目を集める立場になる前のことで、その頃にどんな生活をしていたか、発言/行動を取ったかまで、アレコレ掘り返す必要があるだろうか

それが「ちょっといい話」であったとしても、昔のことを持ち出して、持ち上げたり美化したりするのは好きではない。まして、子どもの頃にした色々な恥ずかしい失敗は、せっかく時間が経つことによって赤面しなくて済むようになったり、反省してきたのに、持ち出されたらたまらなくないか。自分を振り返ったら同じことを思うのでは?イチローさんには恥ずかしい失敗なんてなかったかもしれないけど…

そこは「イチロー」になる前の大切な思い出として、鈴木一朗さんに取っておいてほしい

なので私は、イチローさんの子どもの頃の写真に興味はないし、イチローさんのご実家や、愛工大名電を見に行ったりは絶対にしない。愛工大名電の甲子園勝利も興味ない。イチローさんまだ教えに行ってないし。弱小母校の地方大会1勝の方が大事だ。空港バッティングセンターも行ったことはない。たぶん一生行かないだろう

鈴木一朗について知ろうとしない

私は「友達の友達は他人」タイプである。家族、仕事仲間、高校/浪人/大学時代それぞれの友達、大人になってからできた友達…これらをすべて独立したエリアとして持って、それぞれから違った刺激を受け、楽しみ、癒やされて生きている

色々なエリアがあることが依存を避け、意見し衝突することを恐れず、正気を保って、ユニークな個として生きていくために必要だと思っているからだ。ひとつの世界しかなかったら、逃げ場がない。本音でぶつかることを避け、従属してしまうかもしれない

イチローさんにも色々なエリアがあって欲しい。イチローさんに限らず、強烈なスポットライトを浴びてたくさんの目にさらされている人には、そうでない静かな場所があって、そばに愛する家族や仲間がいて、バカみたいな話をして笑って、苦しいことを明かして、時には教え叱ってもらって…ということができていてほしいと思う

私はスポットライトを浴びるイチロー選手に十分に楽しませて貰っている。そのイチロー選手が心身共に健康で、長く楽しませてくれることが何よりも大事であるからこそ、「鈴木一朗」について知ろうとせず、そっとしておきたい

信頼できる情報は何か見極める

私は、イチローさん本人が語ったこと、球団などの公式発表、私が信頼するメディアや記者/ライターがイチロー選手に直接取材した記事だけを信じている

情報ソースもない「らしいですよ」なんてTweetを信じてはいけない。転送/コピペの連続で、発言の時間軸や経緯/背景は置き去りにされている

これは本当に肝に銘じているが、発信者の力量や正当性を見抜く力、情報を総合的に掛け合わせる記憶力、耳の痛い意見も読み受け入れる忍耐力、いわゆる情報リテラシーが試される

それでも「本当とは何か」という問題にはつまづくことになる

先日、私がイチローさん取材で最も信頼しているライターの方と「本当とは何か」についてお話する機会があった。私はこうしたライターさんの力によってイチローさんの姿を知り、尊敬し憧れてきたわけだが、その時に「イチローさんが話したこと、僕が書いたことが本当とは限らない」と仰っていた

イチローさん自身も迷っているかもしれないし、見せたい姿だけを語っているかもしれないし、ライターさんがそう感じただけかもしれない。それに、結局のところは「受ける側が見たいもの/聞きたいもの=本当」になっている可能性は否めないからだ

勇気を出して本音を言ってみたのに「またまた〜」とか言われたことがあるだろう。そういう経験を繰り返して、その人が聞きたそうなことを言ってみると「やっと本音を言ったね」と言われたりして…

信頼できる情報だけを信じるが、自分もイチローさんに対して「そうなっているであろう」ことを忘れずにいようとしている

誰かのファンでいること

初めて誰かのファンになったのは、千代の富士(故九重親方)。小学校低学年からだったと思う。とにかく強くて格好良くて、低い立合いからの前褌を〜なんて言っていた渋い小学生だった。対戦相手が小錦の日は本当に嫌だった(負けそうで)。どうやったら相撲部屋の女将さんになれるか真剣に考えていたら、母から「相撲部屋の女将さん」という本を渡された(諦めろということらしい)

横綱 千代の富士、当時最多の幕内優勝31回、秋元梢さん父

次は渡辺謙。大河ドラマの独眼竜政宗が格好良くて、お習字の先生のお宅に飾ってあった政宗のポスターが羨ましくて仕方なかった(どうやって手に入れたんでしょう先生は)

独眼竜政宗、平均視聴率39.7%だそうだ、杏ちゃんパパ

マイケル・ジャクソン。NHKの洋楽番組から流れてきた、すでにリリースから何年も経っているThrillerのミュージックビデオに釘付けになった。間もなくアルバムDangerousがリリースされて、まさに虜になった
今も毎日聴いているし、またコンサートに行きたかったと、この世にいてくれないことを寂しく思っている

そしてイチロー選手。1994年、14歳だった。イチロー選手を見てると本当に感極まって泣いてばかりなのだが、「それが君のいいところだ」と言ってくれた友人がいる。とても嬉しかった

ブラッド・ピット。「このEDWIN503を買ったらそのポスターをください」と交渉して貰ったのが高校生の頃だった。とにかく美しく優しい役も多いが、好きなのはクレイジーさが似合うところ。レオン、リバー・ランズ・スルー・イット、ファイトクラブが最高。最新作「ブレット・トレイン」も最高のB級感とクレイジーさでお気に入り

そしてBTS。全員大好きなのだけど、特に2020年グラミーで長男ジンくんの美声と美貌に落ちる。とにかく歌がうまい。こんなに歌がうまい人がいたのかと思った。そして美貌が尋常じゃない。ダンスが苦手と言っているが、私はそう思ったことが一度もない。体幹が強く柔軟性があるため、体を正面に向けたまま足腰をひねることができる。無駄なひねりがなくとても美しいダンスをする。しかも歌とダンスで「語れる」人だ。映画やドラマを見ているようだ(Black Swanが真骨頂ではないか)
そして、常に一貫性のある行動とマインドで、弟(メンバー)たちを育て(とにかく褒める)、明るい雰囲気作りに率先する姿を見て、会社員としても学ぶ日々。そして彼もとってもクレイジー(9/13 Weverse LIVEが最高すぎる)

私たちは彼らの作品、パフォーマンスを見て楽しい時間を過ごしている。その裏にある彼らの努力や犠牲にしているものに、十分な敬意を払いたい。彼らあっての「ファン」だ

スターは私たちの思い通りになるものではない。彼らも成長し年を取り、嗜好も思考も志向も変わっていく。「ああ言っていた」と子どもの頃の発言や好みをいつまでも蒸し返されるのは、私たちだって嫌なはずだ

スターも私たちと同じ生身の人間であることを忘れてはいけない

スポットライトを浴びることは、彼らが望んだことでもあったかもしれないが、光が強くなればなるほど影も大きくなると、BTSのリーダーRMさんは言っていた

そんな中でも、健康で幸せでいてほしい。そうすることで、長くその姿を見せてもらえたら嬉しい。なので私は、ファンとしてできるいくつかの掟を自分に課している。見ていたいからという、所詮自分勝手であるし、私が自らに課しているだけで、人に強要するつもりはない。でも「少し考えてほしい」という気持ちは少しある

特に情報リテラシーについてと、
彼らを尊重することについては…

私を楽しませてくれるスターの皆さん
毎日本当にありがとう

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