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映画「パラサイト 半地下の家族」目に見えない分断。

>>ネタバレ厳禁なので、「よかったよ!!」ということ以外特に言ってません<<

そこかしこから聞こえる「パラサイト 半地下の家族」がヤバイ、面白い、という前評判に踊らされるように、僕も観てきたので、なにか書きたくなりました。ひとまずこの記事ではネタバレはしません(それがすごく難しい)。

とりあえず、2020年、スターウォーズより観るべき作品ではないでしょうか!

ひとまず、予告やCMだけで明らかになるあらすじにだけ、触れると。
(それすら知りたくないよという方はすみやかに読むのをやめてください!)

舞台は韓国の貧困街。
主人公たちは無職、貧困、日暮らし。
窓の外からは消毒の煙が入ってくるわ、いつも立小便する酔っ払いがいるわ、な半地下の劣悪な環境に住む4人家族。
受験戦争に負けた息子は、大学に通う旧友から、「留学する自分の代わりに、とあるお金持ちの家で家庭教師をやってくれないか」と依頼される。身分を偽り、家庭教師として出入りするようになる。
ちょうど、美術の先生も探しているという奥様に、自分の妹を赤の他人として勧める…。
段々と、「寄生」していく貧困家族。そして予告で匂わされる、なんだか深刻な雰囲気、血しぶき、事件?秘密?
「ネタバレ厳禁」の文字。

ここまで書いて、これ以上、ネタバレせずになんも書けなくない?ってなって困ってます。
が、作品の立ち位置について語るなら、世界で同時多発的に進み、間違いなく皆が感じ取り、危惧している「貧富と分断」と「嘘」、そして「家族」についての映画です。
US、JOKER、天気の子、あたりと、同じ水脈を共有する作品、くらいまでは言っても大丈夫かな。大丈夫だよな。これで、この作品の立ち位置、そして観るべき理由を察してもらえれば、と思います。JOKERに、テーマ的な意味で熱狂できたひとは、きっと楽しめる映画なはず。

決して派手な映画ではないのですが、脚本、画、役者さんたちの演技が素晴らしく、本当に2時間強、一度も心離れることなくたのしめた映画でした。
テーマも深刻だし、登場人物たちはみな必死なはずなのですが、全体を覆う楽観的な空気、ややブラックなコメディ要素が最初から最後まで散りばめられていて、ずっとニコニコ、笑いながら観られてしまったのが印象的でした。しっかりエンタメしている。
たぶん、日本映画ではなかなかこの空気感は出ないよな、もっと地味で、深刻なものになるか、変にコメディ色が強くなってしまうよな、という感想を抱きました。日本映画なら目を背けてしまうような表現になってしまうところ、観客が自分含めてよく笑っていました。
たぶん、大陸側アジア特有の「タメ口感」というか、日本人からすると「なんか投げやりに見える」その態度の感じが、良い意味で、肩の力を抜いて観られる空気づくりに貢献していたような気がします。

あとは、テーマ、メッセージの捉え方が秀逸だと思います。説明的にはならないような塩梅で、汲み取りやすい二項対立。非常に観やすい映画でした。

あまり韓国映画に詳しくはないので、監督や役者さん、韓国映画の潮流、作品の立ち位置などに触れられないのがすごく惜しい。

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