#18 葡萄の教会、ヴィーイッキ教会:Viikin Kirkko(フィンランド)
ヘルシンキ郊外にあるヴィーイッキ教会を訪ねました。以前夏に寄ったときは閉まっていたため、今回改めての訪問です。周囲は凍った雪に覆われて、すっかり冬の装いになっていました。
ヴィーッキ教会は2005年に完成した木造教会で、外壁のウロコのような部分にはアスペン(ポプラ)が使われています。
鐘楼には3つの鐘があり、大きい順に「私はぶどうである」、「あなたがたは枝である」、「わたしの内にとどまりなさい」と書かれ、鐘の音にのってメッセージが広がっていきます。
和テイストというわけではないのに、何故か落ち着くロビー。やっぱり木は良いな。
”スパイクシューズはご遠慮ください”
厳冬期はスパイクシューズを履く人も多く、こんな注意書きが表示されていました。
少しピンクがかって、光のあたり方によって微妙に色彩が変わるデコレーション。 タイトルは「ぶどう」
聖堂への入り口。
精巧な作りのドアと壁。
主祭壇。
祭壇の後ろの装飾「生命の木」は、エントランスと同じくアンティ・タントゥ(Antti Tanttu)が制作しました。
beaten silver works=打ち延ばした銀箔細工が、光を柔らかく受けて、木の空間にも調和しています。 見る人によって色々な形に見え、子供たちに聞くと面白い答えが返ってくると、スタッフの方がおっしゃっていました。
主祭壇の後ろのスリットから光が入り、「生命の木」が輝いてみえます。
祭壇の十字架もアンティ・タントゥのデザイン。
その年に洗礼を受けた赤ちゃんの名札がかかっています。
白樺のパーツを組み立てるオブジェで有名なLOVIが作ったツリーだそうです。雰囲気が似ていると思ったら、やっぱり!
自然との一体感を感じる開放的なガラス窓。 葡萄の木はこの教会の重要なモティーフで、実際に葡萄畑もあります。
木組みが美しい聖堂内部。 天井が高く広々した空間です。
洗礼盤。
オルガンを練習していた女性と少しお話をしました。ここに来るときはいつも、仕事ではなく純粋な喜びを感じると話してくれました。オルガンの響きに包まれて見学できて幸せでした。
タントゥの3つの装飾画の中でこちらが一番、木らしい形をしています。
子供たちの健やかな成長を願って・・・
敷地には保育園などが併設されていて、地域のコミュニティーセンターの役割も果たしています。
通りからみたヴィーイッキ教会。
私は特別な信仰心はありませんが、フィンランドの教会が好きです。ふらっと寄った旅行者の私にも、温かく声をかけて下さる方が多く、事務の方だけでなくお掃除のおばさんだったり、メンテナンスやお庭を手入れしている人だったり様々です。そんなちょっとした心の通い合いも、良い思い出になっています。
<公式サイト>
設計は、JKMM Arcjotects のサムリ・ミエッティネン(Samuli Miettinen) JKMMは アモスフレックス美術館等を手掛けた総合的な建築事務所だそうです。
ところで、
私がフィンランドを訪れるのは、(唯一のオーロラツアーを除いて)ほとんど夏でした。 そして今回2月に訪れ、何故今まで来なかったのだろうと悔やまれるくらい冬のフィンランドが好きになりました。きっと雪解けの春や、短い秋も素晴らしいでしょう。四季の豊かさを感じるのは純粋な喜びです。1年を通じてフィンランドに滞在したいという思いが更に強くなりました。
朝のひと泳ぎにやってくる人たち。 海面の泡立っているところは、凍らないように海水を循環させているそうです。 私もいつかアイススイミングに挑戦してみようかな。でもサウナも入らずに海に直行するのは勇気がいります。
こんな景色が、町の中心部から少ししか離れていないことにも驚きます。
次はどんな季節に来るだろう・・・